カラーネガフィルムの自家現像 Vol.4(失敗〜成功編)

正直に言うと、最近スランプであった。

カラーでの自家現像を実験的に行っていましたが、最近いまひとつシャープさに欠ける・・・。特に正規のフィルム現像液「CNL-N1R」に変更してから。

こういう場合、先人が残したデータが豊富にあるのであれば、それを参考にトライすれば良いわけですが、ことカラー現像については情報がとても少ない。対応されてる方はいらっしゃるものの、古い情報だったり、現在は廃盤の薬品であったり、具体的な手順、現像時間などの記述がなかったり・・・個人的には、手順や対応している現像時間なども知りたいですが、失敗例やどういうポイントで失敗するかなども情報としては欲しかったりします。特に試行錯誤の過程を描くことは、これから自家現像にチャレンジする方の一助となるのでは・・・「鳴かぬなら、私が鳴こうワンワワンっ」・・何いってんだこいつ汗・・・なければ自分がやるしかないということで、今回の記事です(前置き長いです)。

コダック/KODAK カラーネガフィルムGOLD 200-36EX 10本パック

条件や状況などについて

私が手元で行っている現像は、特殊な部分はなくて、一般的なものと思われます。せいぜい薬品の鮮度が対応した時期で異なることくらいでしょう。ただそれも年単位で使用していなければそこまで問題なさそうです。とりあえず以下に、私の手元での薬品の状態、手順や器具などを参考までに記載します。

現像液:2つパターンがあって、以前作成した1~2ヶ月経ってる「CNL-N1R」での対応と、最近(数日前に作成した新鮮な)「CNL-N1R」での対応。いずれも常温保存でポリタンクにいれて食卓の足もとに放置(おそらく30度超えなければそこまで劣化しないのでは・・)。一般的に液の寿命が6週間と考えると2ヶ月程度なら劣化はそこまで起こってないと思われる。

漂白定着液:漂白定着はペーパー用の「エクタカラー」を使用。1つは10ヶ月ほど前に購入した古い薬品。もう1つは最近購入した新鮮なもの。古い薬品の場合、パートAの透明な液に白い塊が沈殿し、調合時にも溶けずにつぶつぶ入りの薬品になってしまう。白い塊が入らないよう布で濾したりして調合していた。調合後も液の下の方に白いものが沈殿し、白い部分を注ぐと現像時にフィルムに付着して白っぽくなることもあった。そのため今回は新規購入して新しいものを使用しはじめた。

温度:風呂場で桶にお湯を張り、薬品はメスカップに入れて温度調整。基本的に30度での対応。30~32度あたりになることあり。途中冷めそうなときは現像タンクごとお湯につけて多少の強弱をつけていた。おそらく温度の±1〜2度はあまり関係ないと思われます。

撹拌:パターソンの現像タンクで倒立撹拌していました。最初は1分、その後は1分に10秒程度の撹拌。ここはスタンダードなもの。

手順:手順も一般的。最初に(フィルム入り)現像タンクに前浴としてぬるま湯をいれて数回程度洗う(微妙にフィルムの色のついた水が出てくる)。そこから現像→水洗→漂白定着→水洗→ドライウェル→乾燥というスタンダードなもの。現像後の水洗でも色付き水が出てくることがある。ここで色水がでない程度洗った方がよいかどうか迷うが、とりあえず色水が薄くなるまでは洗っています。漂白定着後の水洗はある程度時間かけて行う。

Kodak コダック エクタカラー RA 漂白定着補充液

最近の失敗例について

現像液「CNL-N1R」を使用しての現像がどうもうまくいかない。以前はペーパー用現像液「エクタカラー」を使用で、30度で8分半〜9分で対応していました。この現像液でも最初は8分あたりからはじめたのですが、8〜9分だと画像が荒れる、白飛びしたり、増感現像的な感じになった(以下に例あり)。

失敗の過程で、また(ライカM-Aの過去記事参照)機材が悪いのか・・・とも考えましたが、今回は少し落ち着いて思案。一旦フィルムを店舗現像にだし確認しました。この場合きちんとシャープに現像できていたので機材については問題ないと確信しました。

荒れの様子から現像時間が長過ぎるのでは?というところに行き着きました。
あともう1点考えられたのは、すでに10ヶ月ほど使っている漂白定着液の劣化。劣化と使い回しでこれが影響しているのでは?と考えました。他のカラー現像のトライアル記事を見ると、漂白定着は「テキトーでいいよ」的な記述をされてる方もいるのですが、「そんなわけないだろ」と笑。そのため漂白定着の液の鮮度と対応時間を調整してみることにしました。

ここで結論を書いてしまうと、現像については諸々のトライアルから、「5分30秒」「30度で5分ジャスト」で対応してよい結果を得れています。また漂白定着は従来6分浴だったものを、現在は「8分」浴で対応するようにしました。現在はこれが一応の正解と据えています。
※8/31追記
大きな声でいけしゃーしゃーと「5分30秒」!とか言っていたものの、その後のトライアルで、一番画像のシャープさが安定するのが「5分ジャスト」でした・・・。漂白定着は引き続き8分で対応。いやー、修行のようです・・。

前置きが超長いですが、以下、それぞれの現像時間での失敗例です。まずは8〜9分の長めの現像をしてしまったもの。

かなり荒れているのと、白飛びがひどいので増感現像のようになっていると思われます。
以下は現像を8分くらいにしたものです。まだやや増感というか、白飛びしている感じがします。

下は現像時間を7分あたりにしたもの。少しずつ荒れは抑えられている気がしますが、まだ荒いです。とにかく連日、つまらん画像を撮っては現像をトライアルしていました。

これらの過程で、色乗り自体はしているので現像時間はもっと短めでもいいのだろうと想定しました。また、もう1つのプロセスである漂白定着を少し長めに対応することで、乳剤をよく落とし、シャープな結果を得られるのでは、と想定しました。結果的に私の想定は当たっていたようで、だんだんフィルムの画質が上がってきました。

ただこのタイミングで他の方のブログをよく読んでみると、ちゃんと現像は「5分半」、定着は少し長めに対応・・・と書いているものを見つけました・・。人の言うことはちゃんと聞いた方がよいと・・・失敗したフィルム本数考えるとがっくりします・・。(現像は5分半ではありますが、温度を32度くらいにして、10〜20秒早めにするとか、そういう対応もしています)

失敗の中で稀にうまくいった例

失敗例のフィルムの中にも、中には比較的きれいに現像できているものもありました。といっても画質は荒いのですが、露出や構図(ハイライトが気にならないような)によってはこんな感じ、というもの。単純に例として載せときます。

現状うまくいった例

前置きとか説明がすっごい長くて恐縮なのですが、一応最近対応したもので成功例を載せます。早くこれを出せ笑。いずれにせよ素人レベルですが、自分としてはピント部のシャープさ、色の乗り方、背景、前ボケの粗さなど全体的に考えて、安定しているなと感じたものです。(最後の画像は、先日警察署にごやっかいになったときに撮ったポスター、カラフルなので色乗りがわかりやすいかなと・・w)

というわけでまとめに入ります。私は現像手順、工程は一般的な内容で行っています。その上で、本稿で使用していた現像液、漂白定着液を使用した場合、あくまで私の場合ですが、以下の時間にて対応し、ある程度の結果を得られるようになりました。ご参考までに。

・温度:30度(30.5〜31度)
・現像:5分30秒 5分ジャスト(〜5分10秒)※微調整あり
・漂白定着:8分

その前後の前浴や中間浴、洗浄、ドライウェルなどは各自適度にやっちくりー。(自分は一応、ドライウェルつけてから干してます。)

あとはメニューの「Site Map」から、下の方に過去の自家現像の試行錯誤(Vol 1〜)もありますのでご覧いただくのもおすすめです。






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「Dayroll(ディロール)」で長巻きフィルムをパトローネに巻くの巻

今回は空のパトローネに長巻き(長尺)フィルムを巻いていこうと思います。

LPL Dayroll
LPL ディロール1350 (L11710)

使用するのは「Dayroll(ディロール)」というみんな大好きLPLから昔出ていた長尺フィルムを巻き取れる機械、要は「フィルムローダー」というもの。かんたんに言うと長いフィルムを買ってきて、この箱に格納して、少しずつ空のパトローネ(使い切ったやつ)に切り出して自分でフィルムを作って使っていこうぜ、というヤツです。

長巻きフィルムがどの程度お得なのか

そもそもなぜこんなことをするかというと、お得だから。

長尺フィルムとは、要は一般に販売していないバルク品というか、メーカーが業務用に卸してる約30m(100フィート)の長いフィルムです。フィルムがガムテープみたいに巻いてある状態のものなのですが、これが市販されている36枚撮りのフィルム単体を何本も買うより、かなり安いわけです。

通常の市販フィルムは一般に36枚撮りで、現在では一本1,000円~くらいします。この約30m(100フィート)のフィルムからは、パトローネ約20本前後ぶんのフィルムを切り出すことができるのですが、単純計算すると、市販フィルムでは1,000円×20本で約2万円かかるところ、長尺フィルムの場合、海外からの個人輸入で購入すると、約7,000円~14,000円程度で購入でき、多少の初期投資は必要なものの、長い目でみれば長尺フィルムの方がかなりお得ということになります。

まぁこのあたりはみなさん知っとるワイだと思いますので、Dayrollがどんなものか写真でみていきます。

「Dayroll(ディロール)」とは

ディロールは、手回しハンドルがついた奇妙な箱。ディロールは商品名ですが、一般的にはフィルムローダーと言われています。(フィルム巻き機ってことですかね・・)

原始的な機械っぽい箱

裏面もなにやら数字が書いてあるダイヤルがあってレトロな感じがする。ご明察ですが、0〜35、Sと書いてあるとこがフィルムの枚数になります。下の5、10というのは30mフィルムの長さね。

レトロなダイヤルがついている

長尺フィルムを入れるためにばらしてみる。表側のギザギザのついたダイヤルを回すと蓋が外せるようになる。

バラすといかにも機械っぽい

感光してしまったダミーのフィルムを設置してみました。右上の開いているところからフィルムの先端が少しでています。真ん中にはダミーなので短いですが、白い芯にフィルムが残っています。(このダミーは感光して無駄にしてしまった部分でもあります・・)

フィルムの設置、蓋閉じはダークバックの中で行う

空のパトローネにフィルムを詰めていく

ハサミとセロハンテープを使って、空のパトローネにフィルムを詰めていきます。

フィルムがちょろっと出ています

ディロールの角からちょろっとフィルムが出ているとこにテープを貼る。個人的には市販のセロハンテープを面倒ですが半分くらいにカットして、下の写真のように貼ります。

テープを貼ります

空のパトローネから余った部分を張り合わせます。なんでモノクロフィルムなのに、パトローネ側がカラーフィルムに詰めるんだよ、というツッコミはなしで。コツとしては現像なりでパトローネからフィルムをカットするときに少し多めに余白を残しておくこと(白いテープが少し出ていますが、ここを少し長めに残してカットする)。そうするとフィルムの使いまわしがしやすくなります。

空のパトローネの余った部分を張り合わせる

両面テープで貼るとか、色々ためしたんですが、あとで現像時にダークバック内でフィルムをカットするとき手間なので結局セロハンテープで一巻きする程度がよい。一方であまりヤワに貼り付けるとカメラの中でテープが切れてエラい目にあうので、ある程度の強度で貼り付ける。

テープで巻いてしまう

パトローネをディロールの中に設置して蓋を閉める。

うまく収まるようになっている

側面に穴があいており、ここに手回しのハンドルを設置してフィルムを巻き取って行く。

このハンドルを突っ込む時、少しコツがいる

以下がハンドルをつけたところ。

これを回していく

ここまでくればおわかりのように、先ほどのS〜35までのダイヤルに合わせて、手回ししていき、Sのとこまでダイヤルが一周したら止めて、フィルムをカットして、フィルムが1本できあがりです。
ご存知のように、フィルムのベロは片側が少しカットされていると思うので、他のフィルムを参考にベロをカットすればカメラにセットしやすくなります。フィルムの角はなるべく角丸になるようカットすると、カメラ内で引っかかったりするのを防ぐこともできてよいかと思います。

これ普通にやられてる方には何を今さらですが、自分はフィルムでの撮影をはじめてから、そんなものがあると知ったのはわりと近年のことでした。確かになんか丸い缶に入ってるフィルムがあるなぁってことは薄々知っていたのですが、それを自分がいじることになろうとは・・。

また別の機会に「フィルムローダー」なるアイテムがあることを知り、長尺フィルムとその装置の仕組みで明確に認識した感じです。この装置で長尺フィルムを扱うようになってから、モノクロフィルムの本数を手元に置くことができるので、消費を気にせずどんどん使用することができるようになりました。1本ずつだと高いのでどうしても躊躇しがちでした。
また海外からのフィルムの輸入もやってみると割と簡単ですし、住所宛にきちんと届くのもちょっと楽しくて、家族の目を盗んでは注文してしまいます。(フィルムの到着には2週間程度かかるので注意です。B&Hとかだと一応トラッキングついていますが、その表示よりは少し早めに届きます。)

LPL ディロール1350 (L11710)