カラーネガフィルムの自家現像 Vol.4(失敗〜成功編)

正直に言うと、最近スランプであった。

カラーでの自家現像を実験的に行っていましたが、最近いまひとつシャープさに欠ける・・・。特に正規のフィルム現像液「CNL-N1R」に変更してから。

こういう場合、先人が残したデータが豊富にあるのであれば、それを参考にトライすれば良いわけですが、ことカラー現像については情報がとても少ない。対応されてる方はいらっしゃるものの、古い情報だったり、現在は廃盤の薬品であったり、具体的な手順、現像時間などの記述がなかったり・・・個人的には、手順や対応している現像時間なども知りたいですが、失敗例やどういうポイントで失敗するかなども情報としては欲しかったりします。特に試行錯誤の過程を描くことは、これから自家現像にチャレンジする方の一助となるのでは・・・「鳴かぬなら、私が鳴こうワンワワンっ」・・何いってんだこいつ汗・・・なければ自分がやるしかないということで、今回の記事です(前置き長いです)。

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条件や状況などについて

私が手元で行っている現像は、特殊な部分はなくて、一般的なものと思われます。せいぜい薬品の鮮度が対応した時期で異なることくらいでしょう。ただそれも年単位で使用していなければそこまで問題なさそうです。とりあえず以下に、私の手元での薬品の状態、手順や器具などを参考までに記載します。

現像液:2つパターンがあって、以前作成した1~2ヶ月経ってる「CNL-N1R」での対応と、最近(数日前に作成した新鮮な)「CNL-N1R」での対応。いずれも常温保存でポリタンクにいれて食卓の足もとに放置(おそらく30度超えなければそこまで劣化しないのでは・・)。一般的に液の寿命が6週間と考えると2ヶ月程度なら劣化はそこまで起こってないと思われる。

漂白定着液:漂白定着はペーパー用の「エクタカラー」を使用。1つは10ヶ月ほど前に購入した古い薬品。もう1つは最近購入した新鮮なもの。古い薬品の場合、パートAの透明な液に白い塊が沈殿し、調合時にも溶けずにつぶつぶ入りの薬品になってしまう。白い塊が入らないよう布で濾したりして調合していた。調合後も液の下の方に白いものが沈殿し、白い部分を注ぐと現像時にフィルムに付着して白っぽくなることもあった。そのため今回は新規購入して新しいものを使用しはじめた。

温度:風呂場で桶にお湯を張り、薬品はメスカップに入れて温度調整。基本的に30度での対応。30~32度あたりになることあり。途中冷めそうなときは現像タンクごとお湯につけて多少の強弱をつけていた。おそらく温度の±1〜2度はあまり関係ないと思われます。

撹拌:パターソンの現像タンクで倒立撹拌していました。最初は1分、その後は1分に10秒程度の撹拌。ここはスタンダードなもの。

手順:手順も一般的。最初に(フィルム入り)現像タンクに前浴としてぬるま湯をいれて数回程度洗う(微妙にフィルムの色のついた水が出てくる)。そこから現像→水洗→漂白定着→水洗→ドライウェル→乾燥というスタンダードなもの。現像後の水洗でも色付き水が出てくることがある。ここで色水がでない程度洗った方がよいかどうか迷うが、とりあえず色水が薄くなるまでは洗っています。漂白定着後の水洗はある程度時間かけて行う。

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最近の失敗例について

現像液「CNL-N1R」を使用しての現像がどうもうまくいかない。以前はペーパー用現像液「エクタカラー」を使用で、30度で8分半〜9分で対応していました。この現像液でも最初は8分あたりからはじめたのですが、8〜9分だと画像が荒れる、白飛びしたり、増感現像的な感じになった(以下に例あり)。

失敗の過程で、また(ライカM-Aの過去記事参照)機材が悪いのか・・・とも考えましたが、今回は少し落ち着いて思案。一旦フィルムを店舗現像にだし確認しました。この場合きちんとシャープに現像できていたので機材については問題ないと確信しました。

荒れの様子から現像時間が長過ぎるのでは?というところに行き着きました。
あともう1点考えられたのは、すでに10ヶ月ほど使っている漂白定着液の劣化。劣化と使い回しでこれが影響しているのでは?と考えました。他のカラー現像のトライアル記事を見ると、漂白定着は「テキトーでいいよ」的な記述をされてる方もいるのですが、「そんなわけないだろ」と笑。そのため漂白定着の液の鮮度と対応時間を調整してみることにしました。

ここで結論を書いてしまうと、現像については諸々のトライアルから、「5分30秒」「30度で5分ジャスト」で対応してよい結果を得れています。また漂白定着は従来6分浴だったものを、現在は「8分」浴で対応するようにしました。現在はこれが一応の正解と据えています。
※8/31追記
大きな声でいけしゃーしゃーと「5分30秒」!とか言っていたものの、その後のトライアルで、一番画像のシャープさが安定するのが「5分ジャスト」でした・・・。漂白定着は引き続き8分で対応。いやー、修行のようです・・。

前置きが超長いですが、以下、それぞれの現像時間での失敗例です。まずは8〜9分の長めの現像をしてしまったもの。

かなり荒れているのと、白飛びがひどいので増感現像のようになっていると思われます。
以下は現像を8分くらいにしたものです。まだやや増感というか、白飛びしている感じがします。

下は現像時間を7分あたりにしたもの。少しずつ荒れは抑えられている気がしますが、まだ荒いです。とにかく連日、つまらん画像を撮っては現像をトライアルしていました。

これらの過程で、色乗り自体はしているので現像時間はもっと短めでもいいのだろうと想定しました。また、もう1つのプロセスである漂白定着を少し長めに対応することで、乳剤をよく落とし、シャープな結果を得られるのでは、と想定しました。結果的に私の想定は当たっていたようで、だんだんフィルムの画質が上がってきました。

ただこのタイミングで他の方のブログをよく読んでみると、ちゃんと現像は「5分半」、定着は少し長めに対応・・・と書いているものを見つけました・・。人の言うことはちゃんと聞いた方がよいと・・・失敗したフィルム本数考えるとがっくりします・・。(現像は5分半ではありますが、温度を32度くらいにして、10〜20秒早めにするとか、そういう対応もしています)

失敗の中で稀にうまくいった例

失敗例のフィルムの中にも、中には比較的きれいに現像できているものもありました。といっても画質は荒いのですが、露出や構図(ハイライトが気にならないような)によってはこんな感じ、というもの。単純に例として載せときます。

現状うまくいった例

前置きとか説明がすっごい長くて恐縮なのですが、一応最近対応したもので成功例を載せます。早くこれを出せ笑。いずれにせよ素人レベルですが、自分としてはピント部のシャープさ、色の乗り方、背景、前ボケの粗さなど全体的に考えて、安定しているなと感じたものです。(最後の画像は、先日警察署にごやっかいになったときに撮ったポスター、カラフルなので色乗りがわかりやすいかなと・・w)

というわけでまとめに入ります。私は現像手順、工程は一般的な内容で行っています。その上で、本稿で使用していた現像液、漂白定着液を使用した場合、あくまで私の場合ですが、以下の時間にて対応し、ある程度の結果を得られるようになりました。ご参考までに。

・温度:30度(30.5〜31度)
・現像:5分30秒 5分ジャスト(〜5分10秒)※微調整あり
・漂白定着:8分

その前後の前浴や中間浴、洗浄、ドライウェルなどは各自適度にやっちくりー。(自分は一応、ドライウェルつけてから干してます。)

あとはメニューの「Site Map」から、下の方に過去の自家現像の試行錯誤(Vol 1〜)もありますのでご覧いただくのもおすすめです。






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カラーネガフィルムの自家現像 Vol.3(薬品編その2)

※7/27追記
現像液「CNL-N1R」での試行錯誤を記事にしました。
カラーネガフィルムの自家現像Vol.4(失敗〜成功編)

とうとうVol.3までやってきました。薬品編その2と題していますが、やっと試すことができました、正規のカラーネガ用現像液「CNL-N1R」を。

以前のVol.1のとき、KodakのエクタカラーRAを使用しての現像について記載していました。これは現在かろうじて量販店で入手できるKodakの薬品です。他に「フレキシカラー」という薬品類があり、カラーネガ専用の薬品としてはこちらの方が正しいものになるのですが、こちらは量販店などで気軽に入手することができません。入手自体は卸し業者を通じてできますが、なかなか情報が少ないです。(過去記事は「Map」からもご覧いただけます)

で、私もこのフレキシカラーを入手しようとしたのですが、あまりに情報が少ないのでKodakさんに希釈とかどうすんすか?と問い合わせてみたところ、個人向けの薬品ではないこと、なので個人向けには卸していないこと(入手はできるんだけど正式にはという感じ)、強い薬品なので取り扱い注意、難しいことなどをあげて、辞めておけ、とのこと(もっと丁寧におっしゃっていただいていますが)。

まぁここで諦めるのもアレなので、カラーネガ現像液「CNL-N1R」を入手し対応してみることにしました。以前から名前は知っていたのですが、情報も少なく、面倒なので手を出していませんでした。ただコメントで指摘されたこともありますが、エクタカラーはあくまでペーパー向けの現像液であるため、どこまで正規の色になるかわからんと。それで、今回正規のネガ向け薬品で試してみようという話です。まぁフィルム写真は試行錯誤の趣味なので、ちょっとずつわかってくると楽しいものです。

今回入手した「CNL-N1R」

今回入手したのは、オリエンタルカラーさんが出しているフジCNL-N1R対応の薬品です。どうも薬品はフジ向けとKodak向けの大きく2種類あるようです。おそらくどっちを選べばよいのかはお好みで、ということなのでしょうか(厳密にはあると思いますが気にしない)。Kodak向けはフレキシカラーと同等製品な気がしています。

上記の3つが2本ずつ入っている

このフジ向けの薬品を選んだのは2つ理由がある。1つはかろうじて多少の情報があること。もう1つは価格が安いこと。Kodak向けは少し値段高いです。こちらは約5千円(送料込みで6千ちょい)。なかなかこのご時世、趣味に出せる値段としては高いですね・・。昔は3千円程度で薬品が入手できたようです。

製品と一緒にこちらが入っている

さすがに業務用の薬品だけあって説明書などはありません。ただ上記の紙が入っています。最低限親切かもしれません。今回、やはり希釈などの情報は得られなかったので、この紙に従って5リットルで作成することにしました。
ちなみに、薬品は5リットル分×2で10リットル分来るので、3つの薬品がもうワンセットあります。(A〜C各2本ずつある、計6袋の薬品)

10リットルタンクで薬品を作る

今回は「500ml作成でパートA液を××ml」といった感じではなく、5リットルいっきに作ります。家に新品の10リットルタンクが余っていたのでこれで作りました。(5リットルのタンク、近所のお店に見に行ったけどなくて・・)

10リットルタンク

タンクの周囲に油性マジックで5リットルはこのあたりと(目安だけ)目印つけたけど、そもそも計量カップで1リットルずつ図って入れている。

一応、手を保護したりして
A液からドボドボドボ・・・・

とりあえずタンクには先に、2、3リットルくらい水を入れておいて、そこへ各薬品をA、B、Cの順番に全部いれます。以下、5リットルの薬品を作りました。

残りの薬品は未開封でとっておく

上記のような感じで薬品を作成しました。

現像結果はどうなのか・・・

それで現像結果はどうなのか・・・ですが、最初スキャナーで読み込んで表示されるサムネイルみて「いままでとぜんぜん違うかも・・・」と思いました。ポイントは空の青がよく出ているなという点。

今回使ったレンズが若干オールドの球面Summilux 35mmだったので、その点で少し彩度が低めというのがありやなしや・・・。このあたりはレンズを変えて、現像本数を試してみないとわかりません。とりあえず出せそうな作例は以下(写真自体の良し悪しは目をつぶってもらえるとありがたい、毎回ですが・・)。

個人的には最初の1本が割と陰影が強めの写真を撮ったので、スキャンしたときサムネで驚きました(上記の後半の4枚がそう)。その後2本目〜を現像すると、少し粗めに出る写真もあったり、少し彩度が低いものもありました。それが現像をしくじったためか(少し分数変えたりしたため)、球面Summiluxばかり使っていたからか、少し経過を見る必要があるかなと思いました。
とはいえ、個人的な感想としてはペーパー用のエクタカラーでもある程度の精度の現像はできていたかなというのと、正規のネガ用現像液の方が少し色は強めに出るのかな・・という印象です。あとはレンズや現像手順のアップデートでどう変わるか。

常用していたSummilux 35mm ASPHの方で試したり(レンズの問題か見るため)、またはエクタカラーのときもそうですが、現像時に前浴や中間浴を結構やるのでそれで色が抜けている?とか、あとは定着漂白液をエクタカラーで代用しているのですが、その液もちょっと古くなりつつあるのでそのあたりが影響しているのか・・・。あとはフィルムはKodakのものを使っているのでそのあたりの影響とか(あまりフィルムの違いは影響しないらしいですが)。今後も試行錯誤して試していこうと思います。(一回水洗減らして、8分浴で試そうかな)

一応、現時点でのレシピをメモって起きます。

・現像液:オリエンタルカラー「CNL-N1R」5リットル作成
 (フィルム1本/250mlでの使用。5Lで20本現像想定。)

・漂白定着液:KODAK エクタカラーRA漂白定着液

現像を水温30度で8.5分〜9分でトライアル。漂白定着は6分程度。現像後は水洗とドライウェル後に乾燥。

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