カラーネガフィルムの自家現像 Vol.3(薬品編その2)

※7/27追記
現像液「CNL-N1R」での試行錯誤を記事にしました。
カラーネガフィルムの自家現像Vol.4(失敗〜成功編)

とうとうVol.3までやってきました。薬品編その2と題していますが、やっと試すことができました、正規のカラーネガ用現像液「CNL-N1R」を。

以前のVol.1のとき、KodakのエクタカラーRAを使用しての現像について記載していました。これは現在かろうじて量販店で入手できるKodakの薬品です。他に「フレキシカラー」という薬品類があり、カラーネガ専用の薬品としてはこちらの方が正しいものになるのですが、こちらは量販店などで気軽に入手することができません。入手自体は卸し業者を通じてできますが、なかなか情報が少ないです。(過去記事は「Map」からもご覧いただけます)

で、私もこのフレキシカラーを入手しようとしたのですが、あまりに情報が少ないのでKodakさんに希釈とかどうすんすか?と問い合わせてみたところ、個人向けの薬品ではないこと、なので個人向けには卸していないこと(入手はできるんだけど正式にはという感じ)、強い薬品なので取り扱い注意、難しいことなどをあげて、辞めておけ、とのこと(もっと丁寧におっしゃっていただいていますが)。

まぁここで諦めるのもアレなので、カラーネガ現像液「CNL-N1R」を入手し対応してみることにしました。以前から名前は知っていたのですが、情報も少なく、面倒なので手を出していませんでした。ただコメントで指摘されたこともありますが、エクタカラーはあくまでペーパー向けの現像液であるため、どこまで正規の色になるかわからんと。それで、今回正規のネガ向け薬品で試してみようという話です。まぁフィルム写真は試行錯誤の趣味なので、ちょっとずつわかってくると楽しいものです。

今回入手した「CNL-N1R」

今回入手したのは、オリエンタルカラーさんが出しているフジCNL-N1R対応の薬品です。どうも薬品はフジ向けとKodak向けの大きく2種類あるようです。おそらくどっちを選べばよいのかはお好みで、ということなのでしょうか(厳密にはあると思いますが気にしない)。Kodak向けはフレキシカラーと同等製品な気がしています。

上記の3つが2本ずつ入っている

このフジ向けの薬品を選んだのは2つ理由がある。1つはかろうじて多少の情報があること。もう1つは価格が安いこと。Kodak向けは少し値段高いです。こちらは約5千円(送料込みで6千ちょい)。なかなかこのご時世、趣味に出せる値段としては高いですね・・。昔は3千円程度で薬品が入手できたようです。

製品と一緒にこちらが入っている

さすがに業務用の薬品だけあって説明書などはありません。ただ上記の紙が入っています。最低限親切かもしれません。今回、やはり希釈などの情報は得られなかったので、この紙に従って5リットルで作成することにしました。
ちなみに、薬品は5リットル分×2で10リットル分来るので、3つの薬品がもうワンセットあります。(A〜C各2本ずつある、計6袋の薬品)

10リットルタンクで薬品を作る

今回は「500ml作成でパートA液を××ml」といった感じではなく、5リットルいっきに作ります。家に新品の10リットルタンクが余っていたのでこれで作りました。(5リットルのタンク、近所のお店に見に行ったけどなくて・・)

10リットルタンク

タンクの周囲に油性マジックで5リットルはこのあたりと(目安だけ)目印つけたけど、そもそも計量カップで1リットルずつ図って入れている。

一応、手を保護したりして
A液からドボドボドボ・・・・

とりあえずタンクには先に、2、3リットルくらい水を入れておいて、そこへ各薬品をA、B、Cの順番に全部いれます。以下、5リットルの薬品を作りました。

残りの薬品は未開封でとっておく

上記のような感じで薬品を作成しました。

現像結果はどうなのか・・・

それで現像結果はどうなのか・・・ですが、最初スキャナーで読み込んで表示されるサムネイルみて「いままでとぜんぜん違うかも・・・」と思いました。ポイントは空の青がよく出ているなという点。

今回使ったレンズが若干オールドの球面Summilux 35mmだったので、その点で少し彩度が低めというのがありやなしや・・・。このあたりはレンズを変えて、現像本数を試してみないとわかりません。とりあえず出せそうな作例は以下(写真自体の良し悪しは目をつぶってもらえるとありがたい、毎回ですが・・)。

個人的には最初の1本が割と陰影が強めの写真を撮ったので、スキャンしたときサムネで驚きました(上記の後半の4枚がそう)。その後2本目〜を現像すると、少し粗めに出る写真もあったり、少し彩度が低いものもありました。それが現像をしくじったためか(少し分数変えたりしたため)、球面Summiluxばかり使っていたからか、少し経過を見る必要があるかなと思いました。
とはいえ、個人的な感想としてはペーパー用のエクタカラーでもある程度の精度の現像はできていたかなというのと、正規のネガ用現像液の方が少し色は強めに出るのかな・・という印象です。あとはレンズや現像手順のアップデートでどう変わるか。

常用していたSummilux 35mm ASPHの方で試したり(レンズの問題か見るため)、またはエクタカラーのときもそうですが、現像時に前浴や中間浴を結構やるのでそれで色が抜けている?とか、あとは定着漂白液をエクタカラーで代用しているのですが、その液もちょっと古くなりつつあるのでそのあたりが影響しているのか・・・。あとはフィルムはKodakのものを使っているのでそのあたりの影響とか(あまりフィルムの違いは影響しないらしいですが)。今後も試行錯誤して試していこうと思います。(一回水洗減らして、8分浴で試そうかな)

一応、現時点でのレシピをメモって起きます。

・現像液:オリエンタルカラー「CNL-N1R」5リットル作成
 (フィルム1本/250mlでの使用。5Lで20本現像想定。)

・漂白定着液:KODAK エクタカラーRA漂白定着液

現像を水温30度で8.5分〜9分でトライアル。漂白定着は6分程度。現像後は水洗とドライウェル後に乾燥。

Kodak コダック エクタカラー RA 漂白定着補充液



カラーネガフィルムの自家現像 Vol.1(薬品編その1)

※6/16追記
正規のカラーネガ現像液(CNL-N1R)での現像もトライアルしました。
カラーネガフィルムの自家現像Vol.3に記事を書きました。


※7/27追記
現像液「CNL-N1R」での試行錯誤を記事にしました。
カラーネガフィルムの自家現像Vol.4(失敗〜成功編)


※9/2新記事
Cinestillのカラー現像キットを試しました。
Cinestillの粉末カラーネガ現像キットを試す!

今回はカラーネガ自家現像の忘備メモになります。
半年ほど前からカラーフィルムの自家現像にチャレンジしています。モノクロの情報は結構あるのですが、カラー現像は情報が少ないですね。調べるのに難儀しました。特にKodakのエクタカラーを使用している例が少なく、すでに販売終了している薬品の例などが、十数年前のブログとかに残っていることが多いようです。いくつか有益な情報があるにせよ惑わされる情報もありました。Kodakのサイトに現行の薬品の調合割合が載っているのですが、一般の方がメモってくださっている調合が微妙に異なっていたり・・。いろいろと調べて現時点でわかってきたことがありますので、一例としていただければと思います。

4/28にVol2の記事も投稿しました。
カラーネガフィルムの自家現像 Vol.2(カラー現像液の作成)

使用している薬品

発色現像液
・KODAK エクタカラーRA発色現像補充液 RT 10L(10L用)(補充液)
・KODAK エクタカラーRA発色現像スターター(1.2L原液)

「発色現像補充液」がいわゆる現像液ですが、3種類の液体をわりと神経質に調合することになります。混ぜるとき最初透明な薬品が赤や緑などに色がかわるのでドキドキしますね

コダック Kodak エクタカラー RA 発色現像補充液 RT (10L)
コダック Kodak エクタカラーRA発色現像スターター (1.2L)[EKTARADEVST1.2L]

漂白定着液
・KODAK エクタカラーRA漂白定着液(10L用)

カラーは漂白、定着が同じ液になっているのでちょっと楽ですねw。独特の色をしています。

Kodak コダック エクタカラー RA 漂白定着補充液

薬品の調合について

とてもありがたいことに、公式サイトに調合が記載されています。

KODAK エクタカラーペーパー用現像処理液2リットルの溶かし方(外部)
しかし上記を見て、私が思った疑問は、以下です。

  • (1)500ml分作成するには単純に4分の1でよいのか。
  • (2)現像時間はあくまでミニラボ用の現像機向けだが小型タンクでの手動現像でも同様の設定でよいのか。
  • (3)現像液の保存はスターターまで入れた状態で行うのか、入れない方がいいのか。

(1)についてなぜこんな疑問持ったのかというと、エクタカラーを使用した数少ない情報のいくつかは、300~500ml程度の薬液の調合で、なぜか8分の1の量で調合している情報が多く、そこをどう解釈すればよいか迷いました。ここで私が勝手に想定したのは、上記サイトにはミニラボの小型現像機で現像する温度、時間の記載はありますが、約45秒と短めであるため、個人が小型タンクで現像する場合、濃度を薄め(1/8)にして、その分、現像時間を7、8分あたりに伸ばしてうまく調節する裏技のようなものがあるのかなということ(薬品がフィルムにきちんと浸透するまで時間をかけた方が安定すると思われるので、そうしているのではないか、ということ)。
しかしこれは想定が外れました。Kodakへ問い合わせをして確認したところ、上記記載の濃度での対応が望ましいとの回答でした。そのため例えば500mlを作成する場合は記載の4分の1の濃度の溶液を作成するのが正しいようです。

(2)現像時間については、回答を得なかったのですが、自分が数本試したところでは、温度30度で対応する場合、6~7分程度の現像時間が必要そうです。(4/14追記)私は現在8分で対応しています。(5/30追記)私は最近9分で対応するようにしています。(6/5追記)最近8分半〜9分で試すこと多し。
現像時間が短いとネガの乳剤が微妙に落としきれてないことがあり、クリアな(オレンジ色の)ネガにならないことがあります・・・ここは試行錯誤中です。現像液の鮮度とかも関係するかもしれません。自分の場合は1リットル〜1.5リットルを作り置きしておいて、1、1.5ヶ月以内には使うのでそこまで鮮度は落ちないかなと・・。
(このあたりは自己責任にてお確かめください。逆にお手元で適切な対応方法をご存知な方、良い対応を行ってらっしゃる方はお便りまってますw)。
Kodakサイトに載っている45秒は流石に短いですし(あれは現像機向けとか、ペーパー向けの分数ですかね・・?)、温度も指定の35~38度ではなく30度で対応しています。あまり高温でネガを痛めても嫌ですし、時間短いと撹拌が少なくネガがきれいにならないような気がして。当初は3〜4分くらいかな?とも考えましたが、手元のトライアルで最初5分で対応したところ、フィルムが暗く現像失敗しました(しかも旅行行ったときのネガとか・・)。そこから6~7分、8分、現在では9分あたりが適度では?と考えています。今後も試していこうと思います。

(3)についてはKodakより明確な回答をいただきました。これは他の一般のブログでもおっしゃってる方もいましたし、薬品の名称から想像できるので、当然とも思われますが、やはりスターターは現像直前に入れる方が望ましいそうです。なので薬液を作り置きして保存する際は、「RA発色現像補充液」のA、B、Cを調合して保存。現像時にスターターを入れてから現像を行う方がよいようです。

最近Rollei 35Sで撮影したもの(Kodak UltraMax400)
同じく35S+UltraMax400、そこそこシャープに現像できている
コンパクト機のため限界あるが、わりとよく写っている

一応自分のレシピ

発色現像液(1,000ml/1リットル)
・KODAK エクタカラーRA発色現像補充液 RT 10L(10L用)(補充液)
パートA:40ml
パートB:18.7ml(多少目分量)
パートC:40ml
・KODAK エクタカラーRA発色現像スターター(1.2L原液)
スターター:25ml(ただし使用時は250mlで使うので6.25ml)
※スターターは1リットルには25mlですが、自分は使用時250mlで使うため4分の1の量を使用時に入れて使います。なので普段25mlは使いません。

漂白定着液(500ml)
・KODAK エクタカラーRA漂白定着液(10L用)(補充液 使用液兼用)
A:71ml(多少目分量)
B:100ml
※漂白定着液はなぜ500mlかというと、この500mlをフィルム数本分は使い回すので1リットルの量は不要としています。使用時は250mlで1本、それをまた元のボトルに戻して使いまわし。(横着なのでフィルム5〜8本はこれでやってしまっているかも)

一応、以上が最近試してみてわかってきた内容になります。タイトルに「(薬品編)」と入れているので今後もなにか進歩があれば都度記載していこうと思っています。そのうち以前から対応していたモノクロ現像についても触れたいとは思っています。

※20/6/6追記
ちなみに、自分はペーパー用の薬品でネガ現像を試しているのですが、それは量販店でかろうじて入手できるからとなります。で、でだ、一方でKodakにはカラーネガ現像用の「C-41RA 発色現像 フレキシカラー」という薬品があるわけなんですが、これを試して見たくて入手まではしたものの、念のためKodakに薬品の希釈とか教えてほしい旨問い合わせたところ、「完全に業務用の薬品で現像機向けにリリースしており個人にはおろしてないのでご了承ください。」といったご回答をいただきました。素人がいじるなという感じですね。あと薬品が強いので肌についたりすると危ないので気をつけてね、ということで、完全に業務用と割り切ってるようですね。海外のYoutubeでこの薬品で自家現像試してる映像もありましたが、うーん、自分はとりあえずいいかな・・・。他に面白い薬品や、アイテムあったら試そうかなという感じ。

※20/4/27追記
4月に追加でカラー現像した写真のギャラリーを追加。割とバランスよくできたかなと思います。(一部Photoshopにて補正あり。機材はLeica M4(後半)、M6(前半)、前Kodak colorplus200〜後Kodak ultramax400あたりかなと・・アバウトですw)


以下最近つかっている薬品など。