使ってる方はかなりの伊達者、ライカM5について

先日書いたLeica M6と一部同じ時期に所有していた機種が「Leica M5(ライカM5)」になります。

【あす楽】 【中古】 《良品》 Leica M5 ブラック 【ファインダー内清掃/シャッタースピード調整/各部点検済】

このライカM5は、ご承知の通りライカの歴史上、独特の位置づけとなっています。違いはそのサイズで、従来のM3~M4までのライカのあの形、サイズから1回り程度大きくなっており、「弁当箱」と揶揄されることもあったようです。サイズの理由ははじめて本体内に露出計を搭載したことによります。このギミックがM6などではより小型になり洗練された機構になっていますが、M5の機構は少々変わっています。シャッターチャージをすると膜とレンズの間に上から棒の先が「丸い的」のようになっているものが降りてきて、そこに光が当たることで測光する仕組み。レンズを外して動作させると、上からレバーのようなものが降りてくるのが見えます。レリーズ時にこれが上に上がってシャッターが切れる感じ(その的は測光のみ機能している)。当時は70年代、日本の技術力が高かった時代で、この辺りの仕組みは日本の機種の方がスマートだったと思われます。それが例のLeitz Minolta CLなどにつながっているようです。M5のこの野暮ったいけれど、機構としての効率はよく練られていると感じる仕組みは、これはこれで「手作業のエンジニアリング」って感じがして、素朴で好きです。この露出計の機構は前述の「Leitz Minolta CL(日本以外ではLeica CL)」にも踏襲されています。

ちなみに「弁当箱」という揶揄ですが、この感覚、いまのお若い方にわかるかな。(自分もそこまで年寄りではないけど)、M5がリリースされたのは70年代なかば、当時の弁当箱は現在のカラフルなプラ製ではなく、アルミ製の無骨なものでそれに概観が似てたことによります。みたことありますかね。今もあるか・・・別にいいけど。

さて入手したライカM5についてですが、経緯はあまり覚えていません。もちろん経路、値段など覚えていますが、いろいろ物色している中で、急に触ってみたくなったという感じでしょうか。あまり人気がなく、比較的、手に入れやすい値段だったとか、雑誌で「密かに人気」と書いてあって感化されたのかも・・・。入手したブツは当時の相場よりかなり格安で状態のよいものだったのは確かでした。
メンテナンス済みでファインター部は直近で清掃済み、個人所有でかなり大切に保管されていたらしいシルバーの美品でした。それがアンダー5万、これは手を出してしまう。吊り下げ位置が2点の初期のもの。

実際届いたものは、大きな傷や汚れもなくかなりきれいで驚きました。グッタペルカの剥がれもなく、ファインダーもクリア、巻き上げもOK、そして壊れやすいため当時でも完動品は珍しかったですが、露出計がOK。とても状態がよいものでした。何本か試し撮りしたのですが、写りも問題なし。当時はVoigtlanderか、沈胴Summicron 5cmでしたが、とてもシャープな写りをしていました。いま写真を見返すとシャープな中に独特の繊細さが宿っていて惹かれる写真だなと感じます。割と暗い状態での写真も一部ありましたが、結構ちゃんと写っている。

よく大きなサイズから不人気と言われながらも、使い勝手の良さは史上一番と言われることがあるM5ですが、そのアンビバレントな存在はいまでも独特だと思います。使い勝手の面では、ある意味その後のライカM6よりも上です。理由はファインダー内にシャッタースピードと、赤いメーターの線が表示されており、SSダイヤルもレリーズボタンと同軸で前面に突き出た形でついているので、ファインダーを除きながら人差し指でダイヤルを回すことでSSの変更ができ、ファインダーでSSと露出を確認しながら操作できる。しかもM6以降の赤い丸や三角といった記号ではなく、追針式でメーターの針が動いて目盛りと交差するところが適正露出となるため、直感的にわかりやすい。個人的にはこういうのを手作業のエンジニアリングと呼んでいますが、変に記号化したり、抽象化しないで血肉のかよった使い勝手を追求するということ。このあたりの工夫が一番使い勝手がよいと言われる秘密でしょうか。一方で、本体は重く、大きいため、持ち運びは不便。しかも触ってみるとわかるのですが、おそらく一回落としたらアウトだろうなという「繊細さ」も持ち合わせていました。
また別の側面で言えば、いまだに一般的なカメラで採用されることがない縦吊りのストラップ位置も奇妙でありながら、使いやすくファッショナブルだとも思えます。概観のデザインも、いま見直すと70年代当時のレトロフューチャー感を感じなくもない。よくエンジニアリングされた使い勝手の良さと、どこか野暮ったさを残しつつ高度に洗練された感じが奇妙に同居しています。

そして、その無骨でありつつ非常に繊細、というところが少々面倒になり手放すことになりました。私はダメな浮気者なわけです。要はもっとラフに、気軽に、持ち出して撮りたい、しかもそこにミニマムなデザイン性とシャープな描写があればなおよしという感じ。カメラ好きはわがままです。そういう意味では、サイズ、デザイン、使い勝手はライカM6あたりのバランスが、やっぱ最高なんでしょう。
それでもどこか気になってしまうライカM5。あのデザイン、存在感、使い勝手はやはり魅力はあるんですよね。その面倒くさいところ含めて使える人は、かなりの伊達者だと思います(普段着から着物きてそうw偏見ですかね・・)。

One thought on “使ってる方はかなりの伊達者、ライカM5について

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