Cinestillの粉末カラーネガ現像キットを試す!

※23/3/27追記
現在ではこの現像液は、国内では劇薬に指定されている成分が使われているということで入手不可となっているようでした。他の方からのご指摘できづきました。ある種のご参考にとどめてください。(ちなみに記載当時は国内でも入手できました)

※9/3ページ下部に追記あり

日頃、自分でカラーネガの現像を行っていて、もっと簡単に入手できるカラー現像キットのようなものはないか?と探しているのですが、1つありました!

それが「Cinestill Cs41 Powder Developing Kit for C-41 Color Film」です。

こちらはCinestillというカリフォルニア州ハリウッドにあるフィルムメーカーが出している薬品です。独特のタングステンフィルムなどをリリースしています。ちょっと高いフィルムですね。

cinestill カラーネガフィルム 800T 35mm 36枚撮り 1本

本現像キットの公式の説明としては以下のような感じです。

<公式のコメント>
CinestillのCs41粉体現像キットは、ご家庭で独自のC-41薬品、カラーフィルムを処理するために設計されています。これには、33.8液量オンスを作る2つの化学浴処理混合物が含まれ、35mm(36 exp)の約8つのロールを処理します。または120フィルム。自宅で白黒フィルムを処理したのと同じ装置を使用して、さまざまな温度で使用できます。このパウダーは、水、温度計、シンプルな現像タンク(別売り)で使用するように設計されています。

CineStill 800235 50Daylight 微粒子カラー写真フィルム

この現像キットについて、いろいろ調べても英語の情報しか出てこないですし、Youtubeなんかだと液の作成から現像工程とか、いろいろ情報あるんですが、日本語情報が少なかったので先んじてやってみようかなと・・・。

この現像キットの入手方法

最初に簡単に入手できる、と記したのですが入手がむずかしかった。私は海外のショップを色々調べてやっと入手しました。一時は海外でも全部在庫切れになっていたのですが、みんな大好き「B&H」さんで「Back order(お取り寄せ)」となっていたので、とりあえず注文しておいたら1ヶ月半〜くらいして発送されました。そこから約2週間で手元に届きました(入手は夏前だったんですが、ダルくて他現像液の都合でこのタイミングですw)。

入手に苦労したよ・・・という話をしようと思ったら、今では「かわうそ商店」さんで売ってらっしゃるんですね・・・(しかもちょい安いかも・・・)。

かわうそ商店
カラーネガ現像キット粉末タイプ CINESTILL Cs41 Dev KIT1リッター

B&H
Cinestill Cs41 Powder Developing Kit for C-41 Color Film

Cinestill現像液の作成

現像液の生成を行っていくわけですが、どうやらかわうそ商店さんで買うと、日本語説明書が同封されるようです。おそらく元の英文の説明書をローカライズ(日本語化)してくれてるのでしょう・・・英文と格闘したわたしを誰かほめてほしい・・・。

コダック/KODAK カラーネガフィルム GOLD 200-36EX 10本パック
パッケージはこんな感じ(銀色の袋)
中には3袋の薬品と説明書(英文)が入っている

さてここから、薬品の制作過程を動画にしましたので(すっごいマメだなと自分をほめてあげたい・・)、こちらをご覧ください。(動画は現在削除しております)

一応補足説明をしておくと、パッケージの中には3つの袋、池袋、沼袋、乳袋が入っており・・・すみませんふざけました・・・赤1点、青2点の袋があり、赤が現像液、青は漂白定着液を生成する薬品になります。

ぬるま湯(常温の水)に溶かして1リットルの薬品を作成していきます。まず5〜600mlくらいの水に、赤いパッケージの薬品を溶かします。ここまではモノクロ現像でおなじみのミクロファインとかと同じ(それはモノクロ用だけど)。だんだんと水を注いで1リットルにしつつ、薬品を溶かし切る。

そして漂白定着液も1リットルですが、まずはPartAを5〜600mlの水に溶かして、ピッチャー(メスカップ?)から保存用の容器に出したり入れたりしつつ、PartBの粉を入れます。どくどくしい色しています。そこから容器で出し入れ何度かやって混ぜて、水を1リットルになるまで注いでいき、保存容器にいれていきます。きちんと薬品が溶けるまで混ぜて終わり。まぁ、いずれもある程度薬品をいじったことある人なら普通です。

この漂白定着のピッチャーと容器の出し入れの工程はおそらく説明書に、PartBの薬品を入れると化学反応があって、吸熱反応が起こるので・・・と書かれています。ちょっと手で触れてみたのですが、ちょっと冷たくなったような気がしました、気のせいだったらごめん。あとすぐ蓋を閉めると、中がシュワッとしてるので膨張した感じになるので、少し蓋あけといた方がいいのかも・・・。(ちょっとこのあたりは状況みてやってよw、ぶん投げる・・)

cinestill カラーネガフィルム 800T 35mm 36枚撮り 1本

この現像液での現像結果

うーん、どうだろうね(笑)。

というのも説明書に液温度と、現像時間について、増感なども含めて表が書いてあって、自分は液温32度で、8.5分での現像、漂白定着は8分での対応をしました。液温29.5度だと13分だって。結果としては以下のような感じ。

うーん、比較的うまくいったものをチョイスしましたが、個人的にはそこまで満足はしていない。明るいとこが飛んでるものもあったので、おそらく現像時間が少し長かった可能性がある。とはいえ、空の色なんかはちゃんと色でている。短距離でとったものも対象が少し荒れているので、曇りでの撮影だったとはいえ、現像がジャストだった、という感じはしない。

まだ1本しか試してないので、もしかすると32度で7分半〜8分とか、もうちょい短めに試してみたら違ってくるかなと思いますが、どうでしょうか?

【9/3追記】別の現像時間で試してみた

上記、公式の説明書には、29.5度で13分、32度で8.5分といった形で各種温度と現像時間が記載されているのですが、前項までに試したのは32度/8.5分。でも結果をみてみると、以前別の現像液で時間オーバーしてしまったときと同様な荒れや白飛びが起こっていました。そこで、現像時間を短くすれば安定するのでは?ということで早速試しました。以下、現像を32度で7分、漂白定着を8分で対応したところ、これで成功しました。余は満足じゃw。
(9/10追記、その後も7分で試していますが、非常によい結果が得られています。この現像液わりといいですね。コツをつかめば安定しています。現像MAXで8本と、本数少ないのでコスパはそこまで良くないですが、撮影済フィルムを溜め込んでからやる人にはよいかも。)


KODAK カラーネガフィルムGOLD200-36EX 10本パック
コダック Kodak エクタカラー RA 発色現像補充液 RT (10L)
Kodak コダック エクタカラー RA 漂白定着補充液
コダック Kodak エクタカラーRA発色現像スターター (1.2L)[EKTARADEVST1.2L]

カラーネガフィルムの自家現像 Vol.4(失敗〜成功編)

正直に言うと、最近スランプであった。

カラーでの自家現像を実験的に行っていましたが、最近いまひとつシャープさに欠ける・・・。特に正規のフィルム現像液「CNL-N1R」に変更してから。

こういう場合、先人が残したデータが豊富にあるのであれば、それを参考にトライすれば良いわけですが、ことカラー現像については情報がとても少ない。対応されてる方はいらっしゃるものの、古い情報だったり、現在は廃盤の薬品であったり、具体的な手順、現像時間などの記述がなかったり・・・個人的には、手順や対応している現像時間なども知りたいですが、失敗例やどういうポイントで失敗するかなども情報としては欲しかったりします。特に試行錯誤の過程を描くことは、これから自家現像にチャレンジする方の一助となるのでは・・・「鳴かぬなら、私が鳴こうワンワワンっ」・・何いってんだこいつ汗・・・なければ自分がやるしかないということで、今回の記事です(前置き長いです)。

コダック/KODAK カラーネガフィルムGOLD 200-36EX 10本パック

条件や状況などについて

私が手元で行っている現像は、特殊な部分はなくて、一般的なものと思われます。せいぜい薬品の鮮度が対応した時期で異なることくらいでしょう。ただそれも年単位で使用していなければそこまで問題なさそうです。とりあえず以下に、私の手元での薬品の状態、手順や器具などを参考までに記載します。

現像液:2つパターンがあって、以前作成した1~2ヶ月経ってる「CNL-N1R」での対応と、最近(数日前に作成した新鮮な)「CNL-N1R」での対応。いずれも常温保存でポリタンクにいれて食卓の足もとに放置(おそらく30度超えなければそこまで劣化しないのでは・・)。一般的に液の寿命が6週間と考えると2ヶ月程度なら劣化はそこまで起こってないと思われる。

漂白定着液:漂白定着はペーパー用の「エクタカラー」を使用。1つは10ヶ月ほど前に購入した古い薬品。もう1つは最近購入した新鮮なもの。古い薬品の場合、パートAの透明な液に白い塊が沈殿し、調合時にも溶けずにつぶつぶ入りの薬品になってしまう。白い塊が入らないよう布で濾したりして調合していた。調合後も液の下の方に白いものが沈殿し、白い部分を注ぐと現像時にフィルムに付着して白っぽくなることもあった。そのため今回は新規購入して新しいものを使用しはじめた。

温度:風呂場で桶にお湯を張り、薬品はメスカップに入れて温度調整。基本的に30度での対応。30~32度あたりになることあり。途中冷めそうなときは現像タンクごとお湯につけて多少の強弱をつけていた。おそらく温度の±1〜2度はあまり関係ないと思われます。

撹拌:パターソンの現像タンクで倒立撹拌していました。最初は1分、その後は1分に10秒程度の撹拌。ここはスタンダードなもの。

手順:手順も一般的。最初に(フィルム入り)現像タンクに前浴としてぬるま湯をいれて数回程度洗う(微妙にフィルムの色のついた水が出てくる)。そこから現像→水洗→漂白定着→水洗→ドライウェル→乾燥というスタンダードなもの。現像後の水洗でも色付き水が出てくることがある。ここで色水がでない程度洗った方がよいかどうか迷うが、とりあえず色水が薄くなるまでは洗っています。漂白定着後の水洗はある程度時間かけて行う。

Kodak コダック エクタカラー RA 漂白定着補充液

最近の失敗例について

現像液「CNL-N1R」を使用しての現像がどうもうまくいかない。以前はペーパー用現像液「エクタカラー」を使用で、30度で8分半〜9分で対応していました。この現像液でも最初は8分あたりからはじめたのですが、8〜9分だと画像が荒れる、白飛びしたり、増感現像的な感じになった(以下に例あり)。

失敗の過程で、また(ライカM-Aの過去記事参照)機材が悪いのか・・・とも考えましたが、今回は少し落ち着いて思案。一旦フィルムを店舗現像にだし確認しました。この場合きちんとシャープに現像できていたので機材については問題ないと確信しました。

荒れの様子から現像時間が長過ぎるのでは?というところに行き着きました。
あともう1点考えられたのは、すでに10ヶ月ほど使っている漂白定着液の劣化。劣化と使い回しでこれが影響しているのでは?と考えました。他のカラー現像のトライアル記事を見ると、漂白定着は「テキトーでいいよ」的な記述をされてる方もいるのですが、「そんなわけないだろ」と笑。そのため漂白定着の液の鮮度と対応時間を調整してみることにしました。

ここで結論を書いてしまうと、現像については諸々のトライアルから、「5分30秒」「30度で5分ジャスト」で対応してよい結果を得れています。また漂白定着は従来6分浴だったものを、現在は「8分」浴で対応するようにしました。現在はこれが一応の正解と据えています。
※8/31追記
大きな声でいけしゃーしゃーと「5分30秒」!とか言っていたものの、その後のトライアルで、一番画像のシャープさが安定するのが「5分ジャスト」でした・・・。漂白定着は引き続き8分で対応。いやー、修行のようです・・。

前置きが超長いですが、以下、それぞれの現像時間での失敗例です。まずは8〜9分の長めの現像をしてしまったもの。

かなり荒れているのと、白飛びがひどいので増感現像のようになっていると思われます。
以下は現像を8分くらいにしたものです。まだやや増感というか、白飛びしている感じがします。

下は現像時間を7分あたりにしたもの。少しずつ荒れは抑えられている気がしますが、まだ荒いです。とにかく連日、つまらん画像を撮っては現像をトライアルしていました。

これらの過程で、色乗り自体はしているので現像時間はもっと短めでもいいのだろうと想定しました。また、もう1つのプロセスである漂白定着を少し長めに対応することで、乳剤をよく落とし、シャープな結果を得られるのでは、と想定しました。結果的に私の想定は当たっていたようで、だんだんフィルムの画質が上がってきました。

ただこのタイミングで他の方のブログをよく読んでみると、ちゃんと現像は「5分半」、定着は少し長めに対応・・・と書いているものを見つけました・・。人の言うことはちゃんと聞いた方がよいと・・・失敗したフィルム本数考えるとがっくりします・・。(現像は5分半ではありますが、温度を32度くらいにして、10〜20秒早めにするとか、そういう対応もしています)

失敗の中で稀にうまくいった例

失敗例のフィルムの中にも、中には比較的きれいに現像できているものもありました。といっても画質は荒いのですが、露出や構図(ハイライトが気にならないような)によってはこんな感じ、というもの。単純に例として載せときます。

現状うまくいった例

前置きとか説明がすっごい長くて恐縮なのですが、一応最近対応したもので成功例を載せます。早くこれを出せ笑。いずれにせよ素人レベルですが、自分としてはピント部のシャープさ、色の乗り方、背景、前ボケの粗さなど全体的に考えて、安定しているなと感じたものです。(最後の画像は、先日警察署にごやっかいになったときに撮ったポスター、カラフルなので色乗りがわかりやすいかなと・・w)

というわけでまとめに入ります。私は現像手順、工程は一般的な内容で行っています。その上で、本稿で使用していた現像液、漂白定着液を使用した場合、あくまで私の場合ですが、以下の時間にて対応し、ある程度の結果を得られるようになりました。ご参考までに。

・温度:30度(30.5〜31度)
・現像:5分30秒 5分ジャスト(〜5分10秒)※微調整あり
・漂白定着:8分

その前後の前浴や中間浴、洗浄、ドライウェルなどは各自適度にやっちくりー。(自分は一応、ドライウェルつけてから干してます。)

あとはメニューの「Site Map」から、下の方に過去の自家現像の試行錯誤(Vol 1〜)もありますのでご覧いただくのもおすすめです。






コダック/KODAK カラーネガフィルム GOLD 200-36EX 10本パック