カラーネガフィルムの自家現像 Vol.6(完成)

前回Vol.5の記事で、カラーネガの現像について「完成編か?」ということで記事を書きました。今回Vol.6にて一応の完成ということで報告させていただきます。

過去の記事はサイトマップの下の方、Note>自家現像のところから辿れるのでご興味のある方はどうぞ。これまでの流れがいろいろ書かれています。

余談が長いので先に結論を書きます。現在、私の手元で一番状態よく現像できている現像時間は「3分27秒」としています。

いやー、長かった・・・。

ここまで来るのにどれだけの時間、労力、お金、フィルム本数がかかったのか・・・。これ、たどり着いてしまう人はフィルム数本程度のトライアルでたどり着けるのかもしれませんが、自分は2020年いっぱいを使ってしまいました。今さらここで語る必要もありませんが2020年はコロナ一色の一年でした。歴史的にも未曾有の出来事の渦中にありつつ、たかだか趣味ごときに集中できていたのは幸いでした。私も仕事が在宅ワークになったことで、自宅でのスキマ時間ができたため実行できたことでした。

さて、前回の記事(11月27日)では3分30秒という時間設定で記事にしていました。しかし、その後のトライアルの中でこの「3分27秒」に落ち着きましたので、その流れを記載します。

そして3分27秒へたどり着いた

前回も触れていましたが、自分の現像の出来の判断基準は、空などの広い面の部分の粗さをみています(もちろん他の物体の表面も参照していますが)。しばらくは3分30秒で対応していたのですが、もう少し短くして試そうと思い、3分15秒、20秒などでトライしていました。しかし逆に少し荒ように見えました(多少気になるとうレベルではありますが)。そこで3分20秒から25秒と、その周辺の微妙なラインを、毎日1本程度ずつ現像していくことでつめていきました。そしてたどり着いたのが3分27秒でした。

以下、トライアル途中の3分20秒で対応したものになります。まだ若干細かい部分、空の面の部分や物体の表面など少し荒れを感じます。

以下はちょっと調整して3分23秒。ここもあまり変わらずですね。写真の内容によっては問題ない状態になることもありますが、もう少し前後の状態をみてみたいと思いました。

以下は3分25秒です。かなり画質が安定してきた感じがします。このあたりで固定してもよかったのですが、もうすこし追い込みたくなり、次に27秒で対応していくことになりました。

以下、3分27秒です。これで安定した感じがしました。細かい粒状感の部分をどう判断するかでしたが、ある程度均一に処理できている気がします。他のインスタなどに流れてくるフィルム写真をみたりして、おそらくそれらは自家現像ではなく店舗でのミニラボ現像だと思うのですが、それらとの比較でも遜色ないかなと思えるところまでもっていきました。

現在は、ほぼほとんどのカラーネガフィルムをこの「3分27秒」で対応しています。念のため書いておくと、水温は30度(±0.5度)、それと漂白定着(温度30度〜35度)を9分で対応しています。

実は漂白定着工程にもコツがいる

とりあえず現像工程の自分なりの回答としてはこの時間なのですが、実は重要と思っているのが漂白定着工程になります。まぁふたつの工程の1つなわけなので重要でないわけがないですが、意外とおざなりにされがちな気がしています。

あるYouTube動画では、漂白定着工程は温度も分数も適当という解説がされていたり、他のブログでもあまり重要視されていないコメントをみかけました。私が考えるこの工程のポイントは、薬品の保存期間が難しい点と、3分台という短い現像時間に対して、(自分の場合は)9分とやや長めに時間をとっている点と、また温度は少し高めの33度〜35度あたりで対応している点が挙げられます。

薬品の保存については、調合前の段階で、白い液体(透明)の方が保存がむずかしく、すぐに白い塊が液体の中に発生してしまいます(結晶化してるのかな?)。茶色の方は変化がわかりづらいこともあり気にならないのですが、白い方はだめになりやすい。調合時にこの白い結晶が液に入ると漂白定着の工程で、フィルムに白い粉状のものが付着して、乾燥後にフィルムから取れなくなります。フィルム自体はきれいに現像されていますが、スキャンすると雪が降っているような感じで荒い写真になってしまいます。

そのため、白い液体の方に結晶化が生じた上で調合するときは布や網のようなもので濾(こ)してから調合するようにしています。しかし濾しても茶色の液体がミルクを入れたように白く濁るのですが、これは時間が経てば沈殿して容器の底に沈むので、上澄みのなるべく茶色の液体の部分を漂白定着時には使用します。調合したてで漂白定着を行う場合は、水洗を十分に行うなど注意しています。

そもそも白い液体、茶色の液体の状態での保存は、6週間程度と公式でも短いのですが(現像液はワンショット使用で2ヶ月くらいの間に使い終わるので気にしていない)、個人的な経験から半年から10ヶ月程度は常温で保存できるものと考えています。以前使っていた薬品がそれくらいもっていました。夏場を超えるとちょっと危ないかな?という感じですね。なのでこの半年〜1年未満くらいの間であれば使えると思います。その際に白い結晶化が見られるので(封切ると2、3ヶ月で出てきます)、濾して調合して使います。

この漂白定着液は、調合すると基本茶色の液体になりますが(エクタカラーを使用)、なんどか繰り返し使用することができ、私の場合は5本〜10本以内くらいまでは同じ液を使いまわします。あまり本数をこなしたり、時間が経過すると、正しい温度、撹拌時間で対応しても画像が荒れてきます。なので、漂白定着液はそこまでこまめに変えなくてもよいが、数本対応したり、しばらく放置したあとは新規に調合するようにしています(ここでも大事な瞬間を収めたフィルムを何本か無駄にした経験から学びました)。

あと温度を高めにして現像工程より長く処理するという部分は、過去にいろいろな情報を探っている中で得た経験則ではあるのですが、温度に関しては30度でなくても良いというのを下敷きにして、高い温度の方が処理が効果的ではないか、という推測からそうしています。機械での処理の場合は38度だったりするので、それくらいの温度までは特にフィルムに影響ないかなと判断しました。あと9分という時間については、以前は6分〜8分程度で行っていましたが、フィルムによっては乳剤が残っているようなイメージでフィルムが濁ることがあったので、少し長めに・・ということで9分にしています。カラー現像の定着はある程度の時間対応したら、それ以上は何分対応してもネガに影響しないとも聞いたことあるのですが、先日間違えて12分ほど漂白定着してしまいましたが、フィルムに影響は無さそうでした。ここは少しアバウトに考えています。そのため自分の場合は30度以上の温度で9分としています。その上で同じ液での処理本数は数本〜10本未満あたりとしています。

一番痛かった失敗は、白く濁った状態の漂白定着液で対応してフィルムを白く濁らせてしまったことです。なので、個人的には結晶化した液で調合するときはなるべくきれいに濾して調合するという部分に割と気を使っています。あとは対応フィルム本数の見極めかなと。自分の場合は2リットル調合して、それを500mlずつ別容器に入れて使い、その500mlで数本処理したら破棄して残りの1.5リットルからまた500mlもってくる、というやり方をしています。(現像液は5リットル作って、1リットルずつ別容器に入れて250mlずつ使用していく使い方です)。

おわりに

カラーネガの自家現像について、6回に渡って記事を記載してきたのですが、正直これ以上は書くことがありません。もちろん別の薬品を使ったらどうなるかとか、プロ向けの小型現像機ではどうか?とか色々なやり方があるのだと思いますが、私が個人で手元で少量ずつ対応することにおいては、以上、という感じがしています。(上記を読み返すと漂白定着液のあたりはもう少しまとめたい感じはしていますが・・)

ともかく2020年はかなりの数のフィルムを購入し、毎日のように現像していたので、正直自分としてもかなり習熟したのではないかと手応えを感じています。とはいえ、そこはまぁ趣味ですので、こんなもんかなとも思っています。コメント欄開放しておいてナンですが、質問とかはしないでw、特に受け付けてませんw。まぁこれからもボチボチやっていきたいなと思っています。(21年はデジタルにも力を入れて・・・)


ライカCLふたたび。

突然ですが「Leica CL(ライカCL)」を手に入れました。

leica_cl_front
Leica CL

といってもAPS-Cデジタルの方ではなくて、50年近く前に発売されたフィルム機になります。以前このブログで「Leitz Minolta CL(ライツミノルタCL)」について触れていますが、外観、機能ともにそれと同じものになります。今回のものはライカ社が海外で販売していたバージョンで、ロゴが「LEICA CL」とシンブルに記載されています。

Leitz Minolta CL、LEICA CLについて簡単に触れますと、70年代、日本のカメラメーカーの一眼レフの躍進もあり、レンジファインダー式カメラも時代遅れとなり、経営が傾きつつあったライカ社が日本のカメラメーカーMINOLTAと提携して作成したコンパクトカメラです。ライカ社が設計し、製造をMINOLTAが行い販売していました。製品名称は日本版と海外版で上述のように異なりますが、73年から数年ほど販売されていました。この前後にライカ社もいろいろあったので、仕様としても製品コンセプトとしても過渡期の製品と言えるかと思います。このあたりの歴史や製品ラインナップの流れを見ると多くの視点から語れるためすごく面白いのですが、まぁ普通は興味ないですよね・・。

コンパクトなライカCLですが、なかなか凝った仕様になっています。ライカ社がはじめてカメラに露出計を搭載したのはライカM5からですが、その仕様を踏襲しコンパクトサイズにした野心的な作品。個人的に思うのは、メインのM型とは別軸でうまくこの路線を次世代に引き継げなかったものかと悔やまれます。サイズがM型より一回り小さくなった上に距離計、露出計も搭載していて、それで伝統的なMマウントが使用できます。この仕様ほしいんですよ。他に人気の小型カメラといえばローライ35ですが、よく惜しいと言われるのは距離計がついていないこと。露出計よりむしろ距離計をつけてくれと言われることもあります。カメラの機能は痛し痒し。しかしこのライカCLは小型な上に距離計も露出計もついている。しかもMマウント。これは完璧。とはいえ、小型化したことで微妙に距離計の精度はそこまで高くないとのこと。専用レンズとしては40mmのレンズが用意されている。

また露出計の仕様が独特で、内部に巻き上げと同時にアーム状の枝が出てきてそこに受光セルが設置されている仕組み。これにより一部、レンズ後部が長いレンズは使えないなどの制約がある。それに仕方ないことですが、現在手に入る機体の多くが露出計が壊れている。

さて、いつも通り前置きが長いですが、自分が手に入れた個体は、外観こそ経年なりの傷がある状態ですが(巻き上げのプラが割れて補修されています)、露出計が動きました。以前持っていたLeitz Minolta CLも露出計は不動。当時は怖いもの知らずで感露出で対応していましたが、いつまで正常動作するかはさておき露出計が動作するのはとても便利。

leica_cl_summicron35
Summicron 35mmを装着したところ

とりあえずは露出計をテスト

最初、入れてみたのは常備していた1.5Vのボタン電池(P625Uという形が特殊な電池)。この場合、電圧的に露出がオーバーしてしまうため、人力で補正して撮影しましたが、結果はアンダー目でした。ライカCLやライカM5は1.35Vのマイナーな電池を使うため(現在は廃盤の電池)、現在主流の1.5Vのものだとコツがいります。そのため関東カメラさんから出ている変換アダプターをあとで購入しました(これ買うの4回目くらいだよ・・)。これで1.35V変換になるため試したところ、露出精度も問題なく使えることが判明しました。これは非常にラッキー。

またCLは、ライカ5と同様にファインダー内でSSと露出が確認できるのでファインダーから目を話すことなくSS変更などが行え便利です。最初、久々にこのタイプのファインダーだったのでクセが掴みづらく、失敗写真を数枚出しましたが、今は慣れてきました。しかし適正露出でCLが使えるのは結構レアなことなので、これはとてもありがたい。

40mmレンズはもっていない

現状の使用レンズはSummicron 35mm ASPHです。CLのブライトフレームは基本40mmですが、35mmだとそこから一回り大きい範囲が撮影されることになります。しかしそこまで厳密にフレーミングしないため、このあたりはあまりこだわりありません。また意外だったのはファインダーがきれいなこと。この年代のカメラはこれまで何台か使ったことありますが、流石にOH済とかでなければファインダー汚れは多少あるのですが、このCLはあまりチリもなくきれいです。ただし外側から覗くと、白いカビなのか劣化なのかわからないものがたくさん付着しており、きれいには見えないのですが・・・パット見は分かりづらいし、実害はないのでよしとします。

Leica_cl_finder
汚れやゴミがなくきれい(右側の縦ラインが露出計)
Leica_cl_finder2
側面のところが白く濁っているのがわかる

このサイズ、機能、これでいいのでは?

しかしライカCL、その出自からメインストリームから外されたり、M型の歴史の中に出てこないことすらあるのですが、小型でMレンズ資産を活かせて、機能もすべて揃っているということで、M型のサブ機として、またはお散歩カメラとしてとても重宝するカメラだと思います。実はM型ライカを2台も持っていながら、両方とも同じ時期に壊れてしまい現在O.H中。1台で使っていたとき、これが壊れたらサブがないということで2台目を手に入れたのにこんなことになろうとは。その経緯もあってCLを手に入れましたが、撮影結果をみても十分に使えることがわかりました。最初はピント甘かったりするかなと思いきやあまり問題なさそう。若干この機体はオーバーインフしているようですが、近距離でピントあってるので今のところ問題なし。確かにもう50年近く経っているため、露出計の精度や破損も怖いし、シャッターまわりも使ってて急に壊れる(修理中のM4がまさにそれ)ってことも想定できますが、しばらくは、少なくとも2台が戻ってくるまではCLをメインに使おうかなと思います。

leica_cl_with_lux50asph

少し今回冗長に書いてしまいましたが、ライカCLは書き出すと、縦吊りストラップのファッション性とか、いろいろ書きたいこと出てきてしまう。特に仕様としてはライカM5とCLくらいが、ライカでは珍しい仕様といこともあって書くことがたくさんあります。とりあえずは寝かしていたMレンズを活用できるようになったのが嬉しいです。

以下、少しですが作例を置かせていただきます。ほとんどがズミクロン35mmでの撮影。最近カラーネガ現像が非常に安定してきているので、そのあたりも個人的にはポイントですw。最近は3分25秒あたりで現像しています。