ライカCLふたたび。

突然ですが「Leica CL(ライカCL)」を手に入れました。

leica_cl_front
Leica CL

といってもAPS-Cデジタルの方ではなくて、50年近く前に発売されたフィルム機になります。以前このブログで「Leitz Minolta CL(ライツミノルタCL)」について触れていますが、外観、機能ともにそれと同じものになります。今回のものはライカ社が海外で販売していたバージョンで、ロゴが「LEICA CL」とシンブルに記載されています。

Leitz Minolta CL、LEICA CLについて簡単に触れますと、70年代、日本のカメラメーカーの一眼レフの躍進もあり、レンジファインダー式カメラも時代遅れとなり、経営が傾きつつあったライカ社が日本のカメラメーカーMINOLTAと提携して作成したコンパクトカメラです。ライカ社が設計し、製造をMINOLTAが行い販売していました。製品名称は日本版と海外版で上述のように異なりますが、73年から数年ほど販売されていました。この前後にライカ社もいろいろあったので、仕様としても製品コンセプトとしても過渡期の製品と言えるかと思います。このあたりの歴史や製品ラインナップの流れを見ると多くの視点から語れるためすごく面白いのですが、まぁ普通は興味ないですよね・・。

コンパクトなライカCLですが、なかなか凝った仕様になっています。ライカ社がはじめてカメラに露出計を搭載したのはライカM5からですが、その仕様を踏襲しコンパクトサイズにした野心的な作品。個人的に思うのは、メインのM型とは別軸でうまくこの路線を次世代に引き継げなかったものかと悔やまれます。サイズがM型より一回り小さくなった上に距離計、露出計も搭載していて、それで伝統的なMマウントが使用できます。この仕様ほしいんですよ。他に人気の小型カメラといえばローライ35ですが、よく惜しいと言われるのは距離計がついていないこと。露出計よりむしろ距離計をつけてくれと言われることもあります。カメラの機能は痛し痒し。しかしこのライカCLは小型な上に距離計も露出計もついている。しかもMマウント。これは完璧。とはいえ、小型化したことで微妙に距離計の精度はそこまで高くないとのこと。専用レンズとしては40mmのレンズが用意されている。

また露出計の仕様が独特で、内部に巻き上げと同時にアーム状の枝が出てきてそこに受光セルが設置されている仕組み。これにより一部、レンズ後部が長いレンズは使えないなどの制約がある。それに仕方ないことですが、現在手に入る機体の多くが露出計が壊れている。

さて、いつも通り前置きが長いですが、自分が手に入れた個体は、外観こそ経年なりの傷がある状態ですが(巻き上げのプラが割れて補修されています)、露出計が動きました。以前持っていたLeitz Minolta CLも露出計は不動。当時は怖いもの知らずで感露出で対応していましたが、いつまで正常動作するかはさておき露出計が動作するのはとても便利。

leica_cl_summicron35
Summicron 35mmを装着したところ

とりあえずは露出計をテスト

最初、入れてみたのは常備していた1.5Vのボタン電池(P625Uという形が特殊な電池)。この場合、電圧的に露出がオーバーしてしまうため、人力で補正して撮影しましたが、結果はアンダー目でした。ライカCLやライカM5は1.35Vのマイナーな電池を使うため(現在は廃盤の電池)、現在主流の1.5Vのものだとコツがいります。そのため関東カメラさんから出ている変換アダプターをあとで購入しました(これ買うの4回目くらいだよ・・)。これで1.35V変換になるため試したところ、露出精度も問題なく使えることが判明しました。これは非常にラッキー。

またCLは、ライカ5と同様にファインダー内でSSと露出が確認できるのでファインダーから目を話すことなくSS変更などが行え便利です。最初、久々にこのタイプのファインダーだったのでクセが掴みづらく、失敗写真を数枚出しましたが、今は慣れてきました。しかし適正露出でCLが使えるのは結構レアなことなので、これはとてもありがたい。

40mmレンズはもっていない

現状の使用レンズはSummicron 35mm ASPHです。CLのブライトフレームは基本40mmですが、35mmだとそこから一回り大きい範囲が撮影されることになります。しかしそこまで厳密にフレーミングしないため、このあたりはあまりこだわりありません。また意外だったのはファインダーがきれいなこと。この年代のカメラはこれまで何台か使ったことありますが、流石にOH済とかでなければファインダー汚れは多少あるのですが、このCLはあまりチリもなくきれいです。ただし外側から覗くと、白いカビなのか劣化なのかわからないものがたくさん付着しており、きれいには見えないのですが・・・パット見は分かりづらいし、実害はないのでよしとします。

Leica_cl_finder
汚れやゴミがなくきれい(右側の縦ラインが露出計)
Leica_cl_finder2
側面のところが白く濁っているのがわかる

このサイズ、機能、これでいいのでは?

しかしライカCL、その出自からメインストリームから外されたり、M型の歴史の中に出てこないことすらあるのですが、小型でMレンズ資産を活かせて、機能もすべて揃っているということで、M型のサブ機として、またはお散歩カメラとしてとても重宝するカメラだと思います。実はM型ライカを2台も持っていながら、両方とも同じ時期に壊れてしまい現在O.H中。1台で使っていたとき、これが壊れたらサブがないということで2台目を手に入れたのにこんなことになろうとは。その経緯もあってCLを手に入れましたが、撮影結果をみても十分に使えることがわかりました。最初はピント甘かったりするかなと思いきやあまり問題なさそう。若干この機体はオーバーインフしているようですが、近距離でピントあってるので今のところ問題なし。確かにもう50年近く経っているため、露出計の精度や破損も怖いし、シャッターまわりも使ってて急に壊れる(修理中のM4がまさにそれ)ってことも想定できますが、しばらくは、少なくとも2台が戻ってくるまではCLをメインに使おうかなと思います。

leica_cl_with_lux50asph

少し今回冗長に書いてしまいましたが、ライカCLは書き出すと、縦吊りストラップのファッション性とか、いろいろ書きたいこと出てきてしまう。特に仕様としてはライカM5とCLくらいが、ライカでは珍しい仕様といこともあって書くことがたくさんあります。とりあえずは寝かしていたMレンズを活用できるようになったのが嬉しいです。

以下、少しですが作例を置かせていただきます。ほとんどがズミクロン35mmでの撮影。最近カラーネガ現像が非常に安定してきているので、そのあたりも個人的にはポイントですw。最近は3分25秒あたりで現像しています。


小型で使い勝手がよいLeitz MINOLTA CL、逆にいま欲しい

どのタイミングで手に入れたか、忘れてしまいましたが、確かα7IIやCanon F-1(過去記事)とか、他のいくつかのカメラと同じ時期に所有していた「Leitz MINOLTA CL(ライツミノルタCL)」についてです。

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New F-1で本体の重さに懲りたのですが、もっと手軽にフィルムカメラを使いたい、小型で軽量で・・・とわがままになっていき入手しました(まぁ色々理由は並べるけど、欲しいもんは欲しいーしかないんですけどね・・)。当時、Voigtlander(フォクトレンダー)のレンズ、たしかNokton 50mm/f1.5(L39マウント)などを所有しており、MLリンクをつけてMマウントボディで使ってみたいと考えていました。

そこでMマウントボディを探すわけですが、当然ライカM6やライカM3など花形機種は高額なため断念(・・・まぁあとでM6、M5、M2、M4、M-A、再度M6、M4は入手するので、これが地獄のはじまりといえばそうなりますがw)、比較的手頃なMマウント機、ライカCLに目をつけました。ただし純正ライカCLは当時でも若干高値でしたので、Leitz Minolta CL(ライツミノルタCL)に目をつけました。当時のオークションでは、徐々にオールドのフィルムカメラの値段が上がりつつあり、Leitz MINOLTA CL(またはLeica CL)の人気が少し出始めていました。値段も上がりつつあり、稀に出てくる安いものを狙っていました(Leica CLは中身はミノルタと同じでもネームバリューで少し高い)。

さてCLを探すにあたり、メーター(露出計)の動作はあまり期待していませんでした。元々Leica IIIfでは勘露出で撮影していたので、なくても対応できる。露出計のある・なしのカメラを往復してみると、露出計があると甘えてしまって勘がにぶることがありました。当時しばらくCANON F-1で露出計に慣れていたので、しばらくは慣れが必要だろうと思いました。それにかなり古い製品なため、メーター動作する製品の方が少ないとも聞いていたので、ここの優先度は低く見積もっていました。

Leitz MINOLTA CL(ライツミノルタCL)について

Leica CLは系統としてはライカが始めてメーターを搭載したLeica M5の派生だそうです。ライカ語りの面倒くささは、製品自体を語るのに会社の歴史を絡めて説明しなければならないこと。当時の状況ざっと概観すると、70年代前半からカメラは日本企業が席巻しており、ライカのレンジファインダーですら時代遅れにってきていたことと、ライカM5で露出計をはじめて組み込んだもののサイズ、デザインが従来のものと異なったためファンからも不評で、会社が傾きつつあったとのこと。まぁ複合的な要因だと思いますが、秀逸なデザインと機能性、それに堅牢性などを総合的にインテグレートできる状態にはなかったということなのでしょう。そんな流れから、日本企業とのコラボでコンパクトライカの開発が行われたようです。当時の日本は高度成長期でしたし、エンジニアリングは優れていたと。

さてこのライツミノルタCLですが、概観や作りが、まぁ他と比べればチープな印象を受けます。現在ではライカ史のメインストリームからは外れることが多い製品ではありますが、今では一周回って味があると個人的には思います。とはいってもシンプルで機能的という点はさすがライカとも言えます。

概観はシンプルで小型、手で持ちやすいサイズです。それに外装も少し薄く軽量なのもいいです(といっても金属なので相応の重さはあり)。シャッタースピード(SS)、ISOのダイアログが前面のシャッターボタン下にあり操作性がとてもよいです。ライカM5と同時代なためかストラップの取り付け位置が縦吊り位置についています。またファインダー内でブライトフレームだけでなく、SS、露出設定も確認できるため(ここもM5を踏襲)、撮影の使い勝手も意外といい。最近、フィルムカメラで写真を取る若い人が増えていますが、いまライトにレンジファインダーでフィルム写真をはじめるとしたら、このサイズ感と重さ、使い勝手、縦吊りのストラップなどファッション性も含めて、意外といい感じなのでは?それに本物のライカでもありますし、天下のMマウントをリーズナブルに試すにはよい機体だと思います。

私が入手したのは3万に満たない金額のもので、メーター動作不明(まったく期待してない)、多少汚れと打痕はあるが、シャッターはある程度動作しているものでした。ファインダーも汚れはあるが、それなりにクリアとのこと。2万円台はいまとなっては少しお安めかもしれません。当時は中の下くらいの状態。(もっと駄目なものだと2.5、程度のよいものは3.5~4万くらいかと。今(2019当時)は4~5万という感じでしょうか。Leica CLの方はネームバリューであまり相場は変わっていないようです。)

使用感についてですが、「巻き上げの感触が・・・」とかきもちわるいことを(←揶揄ではないw)言い出すのも野暮ですが、多少チープでありつつ別にそこまで変な感触でもなくスムーズに動作します。そこはM型などと比べるものでもないですし、そこまで気にならない(オールド製品は気にせず使うのだ、という気概が大事)。シャッター音や動作自体はいわゆる布幕フォーカルプレーンシャッターのそれで、特に問題ありません。フィルムの装填は、ボディの下側がガバっと外れるようになっており、ローライ35などと同じイメージです。メーターの電池もフィルム室の端に設置できるようになっています。使用電池は入手できないMR-9水銀電池を使用していますが、関東カメラサービスが出している電圧調整用のアダプターを使えばSR44などで代用できます。(現在入手できるボタン電池は1.5Vありますが、当時は1.35Vの電池であったため、電圧の違いから露出が1段高く表示されるため、このような処置をとります。)。とはいえ、このライツミノルタCLは露出計は不動でした。わざわざテストのために3000円くらいするアダプターも入手したんですけどね、動きませんでした(シャッターボタンを半押しすると、微妙に針がゆれる程度)。早々にあきらめて感露出での運用に切り替えました。ちなみにこのときのアダプターはその後ローライ35で使われることになります(後日記載します)。

Leitz MINOLTA CLでの作例など

そんなこんなで撮影できた写真がこちら。

CLで撮れたものではわりと気に入っている
雨上がりの夕刻、少し暗めですが後ろボケがいい感じ

よく自由が丘などを散策しながら使っていましたが、フォクトレンダーのレンズ性能なのか、たまたま勘露出がうまくいっていたのか、もしくはシャッタースピードがうまいこと正常だったのか・・・非常によく取れていました。当時は雨の日が多くあまり外で撮影できていなかったのですが、合間で撮影、個人的にはとてもいい雰囲気のものが撮れました。もしろん露出がいい加減なため、暗かったり、明るかったりすることはありますが、ある程度満足できました。

実際の撮影時には首に縦に下げる形でショルダー的な下げ方をしても小型で邪魔になりません。ライカ社さんも逆に今、新製品として廉価版フィルム機のCLを20万くらいで出したら大ヒットするんだけどな、とか思ってしまう(さすがにフィルムのMPやM-Aで60万はさすがにきつい・・)。30万以内なら検討段階に入ってくる感じですw。(FUJIFILMさんでもいいんだけど、どっかのメーカーさんフィルム機だしてくれないかなぁ・・・)このサイズ感と気軽さ、そしてライカという点でも、スナップしやすくて、その上で35mmフルサイズと考えると非常によい製品です。今は残念ながら手放してしまっているのですが、もう一回サブ機で欲しいと思わせてくれます。フィルム写真でライカが使いたいけど高い、といった人にもおすすめできると思います。露出計はスマホアプリでも補えるので問題なし。気軽に撮影を楽しみたいと思うなら十分楽しめるカメラだと思います。

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吉祥寺のデパート
夜にちょっとしたライトアップされた公園
ボケの感じも自然かなと

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