ライカレンズ「Summicron」遍歴その1

現在、ライカボディについては落ち着いており(ぜんぜん落ち着いてないw)、ライカレンズについても記載していこうと思います。

ライカレンズは数も多いし、値段もアレなので、自分が触れたことがある、ごく一部のものを思い出とともに振り返ろうという趣旨です。短期間で手元から去っていくものもあるため(笑)、使用レビューというわけではなく、気の向くままの記述ですのでご容赦を。

ライカレンズの定番といえばSummicron。私も最初に手に入れたのはエルマー50mm/f3.5でしたが、次に入手したのは沈胴Summicron 50mm/f2でした。おそらくこのあたりは入門としてどなたも通る道ではないでしょうか。過去に入手したSummicronを順に記載しますと以下のような感じです。

・沈胴Summicron 50mm①
・沈胴Summicron 50mm②
・Summicron 50mm 3rd
・Summicron 50mm 2nd
・Summicron 35mm 7枚玉
・Summicron 35mm 現行ASPH(フードねじ込み)
・Summicron 50mm 4th現行(フード組み込み)

正直、値段のことは考えたくないですが、やっぱりSummicronのシャープで万能な写りはどうしても手元に1本持っておきたいレンズではあります。今はすべて手放してしまいましたが(真逆のことを言うスタイルw)、そのうち落ち着いたらまた入手したいです。

とりあえず歴代レンズについて上から順に思いの丈をぶつけていこうかと思いますが、その前に身の丈を考えたいですw。

沈胴Summicron 50mmその1

最初に手に入れたライカレンズは沈胴のSummicron 50mm。中の下くらいの実用品のニュアンスでオークションに出ていたものを、今考えれば格安で落札した。オークションには慣れていなかったが、何度か経験するうちに当たりはずれの博打的な側面に惹かれてしまった。この頃から文面や画像から読み取れる情報でプロファイルを行い、いかに当たりを引くか、そこに快感を見出すようになっていた。いつの頃からかこんなことばかり繰り返すようになっていった。格安ではあったが「実用品」ということで何も考えていなかったが、届いたものは絞りにガタがあり、外観は比較的きれいな状態、レンズ内のチリも許容範囲のものだった。ただしレンズ後玉の周辺に大きな引っかき傷があった。おそらく素人によって清掃されたことがある個体だった。状況からそう思った。失敗したかなと思いつつ、当時SONY α7IIにアダプターをつけて試写を行う。それが不思議と傷の影響はまったくなく、出品者のいうように実用はできた。本領を知ったのはα7IIで撮った以下の写真をみてから。


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その解像度に驚いた。退屈しつつ街を徘徊して学芸大学駅で撮ったもの。ホームの明かり、街の灯りがあるものの、夜間の町並みを撮っても、かなり遠くの人や看板までシャープに撮影できている。α7IIの高感度が強いといっても、数十年前のレンズでここまでシャープに写るのが不思議だった。
その後、昼間の公園で撮影したものも。明るい場所で開放だとオールドレンズ特有のグルグルぼけが出るものの、色やシャープさは損なわれていない。これがライカレンズか・・。この時点で50年以上前のレンズ。ちょうどその頃、ミラーレス機がヒットし、オールドレンズに関する書籍もでてき始めており、レンズマウント遊びが流行りつつあった。なるほど、これは面白い。レンズ遊びの楽しさを体感しました。

ちょうどこの頃、フィルムではM6、M5を所持していたため、フィルムでの描写も試しました。以下、ライカM5での写真。どことなくしっとりした写真になった。自分の腕前がどうというのは一旦脇へ置くとしても、この独特のシャープかつシルキーなイメージにとても感銘を受けた。

またライカM6(ブラック)での写真。神宮外苑などに持参しての撮影。ここには載せていないが、逆光で神宮球場を撮ったら六角形の光芒がくっきりでたものもあった。とはいえ、露出がぴったりあうと、なんともいえないコントラストで風景を切り取ってくれる。

その後、このレンズは実用にこそ問題はなかったものの、ガタとレンズ傷がどうしても気になり手放してしまった。これくらいの値段ならすぐにもっと質のいいものを手に入れてやると考えてしまった。そのすぐあとで同じレンズでハズレを引くとは思わずに。

沈胴Summicron 50mmその2

前述のようにハズレを引いた1本。私はガタとレンズ傷のないSummicronを手に入れてやろうと焦って判断を誤りました。前回同様に並の実用品と言われているSummicronを入手。外観はきれい、ガタも問題ない程度、レンズ面も目視ではきれい、傷もない。しかしこの頃はレンズ確認にライトを照らしての確認方法を知らなかった。レンズはかなり曇っていた。
以下のように撮れた写真は薄い霧に包まれたようにふわっとしている。いまみるとふわっとしていて、これはこれで表現とも言えなくはない。

しかし当時の自分にはこれを個性といってしまえるほどの度量はなかった。他にいくつものレンズを所持していたわけではなかったため、メンテナンスに出せばおそらく実用品になる想定もありましたが、追加投資の余裕もなく放出しました。

Summicron 50mm 3rd(第3世代)

昨今、SNSやネットでの情報をみてライカレンズに手を出す人は多いですが、その沼は広く、深い。一度、ライカレンズの独特な描写、色彩、シャープさに魅せられてしまうと、奇妙な衝動が湧いてきて、身を持ち崩すことも。この頃から私も金銭感覚は二の次になっていました。

どうしてもSummicronの描写が忘れられない私は、更によいものを入手しようとしました。第三世代Summicron、ニュージェネレーションレンズ。第2世代よりコントラストが高く色の出方も鮮明で、いまでも通用する描写。状態のよいものはそれなりの値段だがすでにそこはどうでもよかった。衝動的に手に入れたSummicron 3rdは外観も美品、レンズ面もきれい、チリも最小限、とても状態のよいものでした。フードや前後キャップも純正で付属。はじめて持ったライカ特有の黒い銅鏡のレンズでした。ホンモノを手に入れた気がした。ここで前回の失敗を踏まえライトを照らしてレンズを確認、後玉の周辺に若干の曇りがあったが、実際は描写にまったく影響なく実用十分。ここで曇りの状態と描写への影響がどの程度か一つの感覚を得ました。

旅行にも持っていきました。主にM6につけてフィルム、たまにα7IIでデジタル撮影。この頃、他には同じF値のカールツァイスの50mm/F2、初めて手に入れた35mmのVoigtlander 35mm/F1.4(SC)も所持していました。そのためSummicronで撮影した写真が相対的に少ないのですが、驚いたのは夜の名古屋で電波塔を撮ったもの。SONYカメラの高感度耐性にもよるが、鉄骨のフレームが恐ろしくシャープに写っている。このレンズの本領をみた気がする。その後、レンズをはじめてメンテナンスへ出すことにし、状態がさらに良くなった。この経験からどうしてもデジタルライカでの撮影が試したくなり、家族に相談、ライカM-P Typ240の購入の契機になった(これがさらなる破滅の道なのですが)。

以下は当時所持していたライカM6(ブラック)での作例。岐阜へ旅行した際にとったもの。比較的暗い室内でもシャープで、とても空気感のある写真が撮れた。

以前ライカM-Pを入手した経緯で記載したが、上記の岐阜旅行の帰りにどうしてもデジタルが欲しくなり、家族に交渉してM-Pを手に入れた。近所を中心に色々持ち出して試し撮りしたもの。M-P購入当初はライカレンズはこのSummicron 3rdのみだったため、初期はこのレンズでの撮影が多かった(その後、別のレンズをメインとしていく)。デジタルライカで撮ると、ボディがTyp240ということもあり、とてもよいコントラストが出る(気がする・・・腕前はともかく)。おそらくSummicronのよさは、この頃から現行の4thまで大きくは変わっていないと思われる(仕様も確か変更はないはず)。

しかしその後の生活で、奇妙な感覚を覚えた。SummicronのF2、カールツァイスのF2・・・50mmレンズはスナップ向きだし、自分の感性にも合っていて好んで使っていましたが、F2の50mmが2本あることが私を落ち着かなくさせた(この辺りが気がくるっている)。カールツァイスも写りはとてもよく、銅鏡の作りもきれいで、レンズとしては全く問題がない、とても優等生なレンズ。とはいえ、ほぼO.H.から戻ったSummicronと比べてしまうと、そこまでの面白みがあるわけでもなく、カール・ツァイスをあえなく放出してしまいました。だが私はこのあと、さらに奇妙な行動を取ることになる。(Summicron 3rdはしばらく所持していました)

ライカレンズ「Summicron」遍歴その2へ続きます。
11/6 ライカレンズ「Summicron」遍歴その3を公開しました。


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海外旅行への写真フィルムの持ち出しについて(インドネシア編)

書きたい内容がたくさんあるのですが、このあたりでこれに触れておかねば期を逃すかな・・・と思われる話題(期ってなんだ)。

海外旅行での写真フィルム撮影、写真フィルムの持ち出しについて。

インドネシア編とかいっといて、別の編はあるのかないのか(うん十年ぶりにパスポートとったので)。

ちょっと前にどなたかのTwitterでお見かけして自分も気になったのですが、世相を反映してか、海外の空港でのX線装置が強化されているとのこと。昔の装置であれば数回程度のX線通過で写真フィルムが駄目になるということはなかったそうですが、最新の装置では一発アウトになる可能性があるとか・・。フィルムの紙の外箱には多少のX線は大丈夫と書かれていたりもするのですが、昔から書いてあったようにも思うので、今は基本NGと考えておいた方がいいのかなと思います(現行フィルムもあるわけですし、文化に対してセキュリティとのジレンマかなと・・・)。フィルム写真が趣味でない方からはデジタルでいいじゃんって言われそうですが・・・そうじゃない、そうじゃないんだよ・・・。
空港職員のハンドチェックを断られることも増えたといったエピソードも聞くようになりました。もちろん人や国、情勢によりますが。

フィルムカメラ持ってインドネシア、バリへ

さて本題。私は2019年8月にインドネシア、バリへでかけました。フィルム約15本とライカM4を持っていきました。またデジタルはライカM-P(typ240)を持参しました。本記事では写真フィルムを持って海外へ行ったときのエピソードを記載いたします。ちなみにレンズは Summilux 50mm asph、Summicron 35mm(7枚玉) を使用しました。レンズの詳細も後日書こうかなと思いつつ、ボディの話を先に書く予定です。

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また持ち込んだフィルムは以下にあげたものになります。Kodak Proimage100、Kodak Ektar100、ILFORD DELTA100、富士フイルム ネオパン 100 ACROS、オリエンタル NEW SEAGAL 100。個人的には Proimage100 好きなんですよね。

<出国時>
・出発:羽田空港(東京)
・経由地:クアラ・ルンプール国際空港(マレーシア)
・到着:デンパサール国際空港(インドネシア、バリ州)

<帰国時>
・出発:デンパサール国際空港(インドネシア、バリ州)
・到着:成田空港(東京)

行きがマレーシアでのトランジットがあり、その分、多くの関門を突破しなければなりませんでした。事前に想定していたイメージとしては、羽田、成田は国内であるため、行きも帰りもおそらくハンドチェックで問題なかろうということ。ここは結果的に想定通りでした。そして気をつけるべきは海外空港の手荷物検査。

といっても特に特殊なことはなくて、とにかくフィルムは手荷物に含めるということと、空港職員にハンドチェックを依頼する、という2点が中心です。しかし、相手の空港職員がこちらの言うことを聞いてくれるかどうかはその時次第。アンコントローラブルな部分となりますが、うまくコミュニケーションすればある程度対応してくれそうです。

空港で私が対応したこと

まずは搭乗時。手元に持って搭乗する「手荷物」にフィルムを含めます。航空会社により持ち込める手荷物のサイズ、重量に制限があるため注意が必要かもしれません(フィルム程度ならそこまでかさばりませんが・・)。
預け荷物にしてしまうと、航空機への積荷する際に、より強力なX線を通されてしまうためフィルムが駄目になる可能性が高くなるとのことでした。

事前準備として行ったのは、料理用のジッパーのついたビニール袋を用意し、写真フィルムをプラケースから出した状態で入れることでした。フィルムの海外持ち出しで調べると、プラケースに入れたままだと検査時に1つ1つプラケースを明けてチェックされるので時間がかかる、という内容が散見されました。空港職員も手間かかると面倒がってX線を通されてしまいかねないので、あえてプラケースから出して入れました。フィルムにゴミがとか、空気に触れてしまうとかありますが、X線よりはマシだと割り切りました。また相手も明らかに中身が見えているものまでは、パッとみて理解すればそのまま通してくれるのでは、と想定しました。結果的にそれは当たっていたように思います。


Kodak カラーネガフィルム ProImage 100 35mm 36枚撮り 5本パック

では実際の検査時、検査ゲート前に並び、ベルトコンベアに荷物をおいていくわけですが、並んでいる間に声をかけるべき職員めぼしをつけました。手前側に職員がおらずゲートの奥にいる場合もありましたが、手前にいる場合は事前に声をかけてフィルム袋を渡して説明しました。奥にいる場合は声をかけるタイミングを待ちました。

フィルム袋にはあらかじめ大きめな紙のシールを貼っておき(付箋のようなシール)、そこに英語と現地語(このときはインドネシア語)で「Hand inspection, please」とマジックで書いておきました。袋を渡すときも口頭で「Hand check please」と伝えました(検査はinspectionが正しいのですが、口頭ではCheckという言い方でもよいのではと思います)。ただ袋を手渡してみると、一瞬怪訝そうな顔で袋を眺めるのですが、文字を読んでる感じはなく、わかってる人はOKOK的な感じのリアクション。よくわかってない人は怪訝な顔で奥の上司?他の職員にみせて何か確認した上でゲートの向こう側にもっていって、検査後に渡してくれました。

袋詰めにしたフィルム

結果的に、今回の旅では、一度もフィルムはX線を通さずに通過することができました。
ただしちょっと注意が必要だったのは、経由地のクアラ・ルンプール国際空港の入国時と出国時。最初、ハンドチェックプリーズということで渡したのですが、大丈夫大丈夫というようなリアクションで、そのままベルトに載せろといわれました。ここは一応粘ってもう1度言うと、渋々目視でチェックしてゲートの奥まで持っていきました(そこで別の上長らしき人が再度、袋の中身をちょこちょこ見ていました)。ゲート通過後、声をかけるとさっと渡してくれました。
また、もう一回ゲート通るときは、口頭で言って手渡したのですが、無言でそのままベルトコンベアに袋を戻されました。直前で嫁が気づいて職員に強めに「ハンドチェック!」といったら受け取ってX線を通さずにすみました。特に感情的なコミュニケーションはなく、相手も終始無表情ですし、こっちも普通に何度か言えば伝わる、という感じでした。
こういう場合、2、3度言って向こうが頑なにX線通せといったときはあきらめて従うことにした方がよさそうです。あまり変な態度を取ると別室に連れて行かれて詳しく検査される場合もあるようです。国により情勢が異なるため難しい点かもしれません。観光客が多い国では、政情が不安定でない限り、おそらくフィルムの持ち込み程度は問題ないのではと思いました(あとは空港職員による・・・)。
ちなみに、インドネシア(デンパサール国際空港)では、入国時も出国時もわりとスムーズでした。フィルム袋を渡してちらっとみるとすぐOK出ました。たまたまかもしれませんが、そこまで気にしてる感じはありませんでした(経由地からの便は、そもそも経由地でチェック受けてるはずなので、それで安心しているのかもしれません・・・あまり海外経験ないのでわかりませんが・・)。

以下、バリの現地で撮った写真ですが、現像上がってきたとき、「勝ったな」と思いましたw。空の青がきれいにでてる、それだけでもいい思い出になりました。